▽勝負



「・・・む、黒白さん強い・・」

「***が弱すぎるんでしょう」

「うう」



数分後。
私達はオセロ盤を挟んで向かい合っていた。


盤上は明らかに私の白が劣勢。


うなるしかない。
強すぎるよ、黒白さん。


そんな私を見て、黒白さんは面白そうに口の端に笑みを浮かべている。



それが悔しくって、やけくそに白を置いた。



「ここだぁ!」

「はい、じゃあ私はここで」



あっという間に白が奪われる。



「うわぁ・・!真っ黒になっちゃうよ・・!」

「***少しは頑張ってください」

「頑張ってますよ―!黒白さんが強すぎるんです!」



どうしよう、そう思いながら唸っていると、ふと気が付いたことがあった。



「・・オセロって、なんだか黒白さんみたい」

「私みたい、ですか?」

「うん。・・・だって、黒と白の駒が、盤上を別つ勝負でしょ?黒と白・・ね?」

「・・・ああ。考えたこともありませんでした」

「私も今思いついたの!・・そう思うと、なんだかより楽しくなります!」

「そうですか?」

「そうですよ!・・だから黒白さん、少しくらい手加減してくださいよ―!」



そう言いながら私が向かいの黒白さんを見上げると、黒白さんは薄く笑って却下した。


酷いよ、黒白さん。





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mae ato




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