▽その震えの意味は


数日後。
久しぶりに黒白さんが屋敷に帰ってきた。
屋敷に人が返ってきた音がして、そっと窺うと待ち続けた人だった。ハーフアップの髪の毛が揺れているのを見て、思わず駆け寄る。
「お帰りなさい!」
「ただいま。良い子にしてましたか?」
「うん。けど、黒白さんがいなくて寂しかったです・・」
「そうですか・・。・・そうだ、私が出かける前に言っていたでしょう。オセロ」
「!・・今、出来るの!?」
「はい」
「やった……!ありがとうございます、黒白さん!」
黒白さんがそんなことを覚えていてくれたことが凄く嬉しくて、思わず黒白さんに抱きついた。
「黒白さん好き―!」
そして黒白さんのお腹に顔を埋めたままそう言うと、黒白さんの体が微かに震えた。
本当に、微か。
でも確かに震えた。
「……?」
「……***」
「……どうしたんですか?黒白さん・・」
「なんでもありません。さあ、行きましょう」
「……?」
不思議に思って上を向くが、顔は逆光で見えない。
どうしたんだろう。
何か嫌なことでもあったのかな。
―――わからない。
首をかしげながら私は歩き出した黒白さんから離れ、後ろから付いて行った。






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mae ato




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