緋乃01「中野帰りなよ、上条を困らせるのがそんなに楽しいの?」

由衣02「緋乃…何でここに……」

緋乃03「部活で居残りしてたの。やることが多くて。あと上条と帰る約束してたから。」

由衣04「へぇ……で、あんたが私に指図する権利あるわけ?」

緋乃05「そりゃあないかもしれないけど、あんたの我が儘で上条が迷惑がってるじゃない。」

仁06「いや、俺はべつにそこまでは…」

緋乃07「気を遣わなくていいよ。正直に言えば。」

由衣08「正直に言った結果がそうなんじゃないの?正直に答えさせてあげるのが優しさだと思うけど?」

緋乃09「あんたにそこまで指図する権利あるわけ?って言わせてもらうわ。」

由衣10「あるわよ、そもそもあんたは勝手に会話に入ってきただけ…。第3者の立場って知ってる?普通口出しはしないものよ。」

緋乃11「あぁそう…私には権利がなくてあんたにはあるの……。たいそうお偉いことねぇ。」

由衣12「まぁそれほどでもあるわ。」

緋乃13「…ムカつく…けど……。私も帰るからあんたも帰る。そうすれば丸く収まるのよ?それでいいじゃない。」

由衣14「帰らないってさっきから言ってるじゃない。日本語が通じないのなら英語?ヒンディー語?それともスペイン語かしら?お望みの言語で説明してあげるわよ?」

緋乃15「っ……!!調子にのるんじゃないわよ!私、あんたのそういうとこ前から大っ嫌いだった!!」

由衣16「あは、ありがとうございます、私も大嫌いです、さようなら。」

緋乃17「あー分かったわよ!!さよなら!!」

仁18「ちょ、津田…!」

由衣19「はっ。言うだけ言って帰るなんて負け犬の遠吠えにしか聞こえないっての。」

仁20「中野……」

由衣21「…迷惑なのは分かっているわ。だから私は上条とは離れたところで待ってる。今ので見損なったなら今後私のことは無視しなさい。これで無関係でしょ…じゃあね。」

由衣ナレ22「待たないという選択肢は私にはなく、あとにも退けませんでした。そしてそれから30分後。彼、佐藤亮は帰ってきました。」

亮23「あー、もうマジでダルい…」

仁24「おつかれさん。長かったな。」

亮25「まぁな、でも教師への鬱憤も晴れたし。…さて帰るか。」

由衣26「あ……。………」

由衣ナレ27「帰り道、私は何も話せませんでした。」

亮28「あの、…俺たち津田の家に寄ることになったんだけど……。」

仁29「まぁ…来ないよな。」

由衣30「…そうね、時間的にも色々ともう遅いし。じゃ。」

亮31「中野!」

由衣32「何?早く行ったほうがいいんじゃない?」

亮33「いや、あの…待っててくれてありがとな!!」

由衣34「べつにお礼言うほどのことでもないでしょ。じゃあね。」

由衣ナレ35「私は何がしたかったのでしょうか。彼が落ち込んで帰ってくるかもしれなかったから?何も言葉をかけられなかったのに?迷惑をかけただけなのでは?」

由衣36「私は…何もできなかった……」

由衣ナレ37「考えてみれば意地なんて張らなければあとにはいくらでも退けたのです。緋乃のことは嫌いでも、喧嘩をする必要はありませんでした。彼にとって緋乃は友達で、彼は誰よりも友達を大事にすると知っていたので、嫉妬……していました。」

由衣38「……滑稽ね。結局また同じことの繰り返しじゃない……」

由衣ナレ39「そう、私は何度も同じ過ち繰り返す道を進もうとしていました。繰り返しても結果は変わるものだとも知らずに…」


episode3 end.





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