由衣ナレーション01「高校一年生の春、もともと友達作りが苦手な私はやっと友達を数人作りました。"彼"もそのうちの1人です。しかし私は、些細なことでそのうちの1人と喧嘩してしまいました。」
少女A02「あんた何も分かってないよ!
いつもいつも偉そうに!!もうしらないからっ!!」
由衣03「えぇどうぞご勝手に。
…にしても自分のことを棚に上げて人に偉そうだなんて……。
あなたも随分偉いんじゃないかしら?」
少女A04「何ですって!?もう本当に絶交だから!ばーか!!」
由衣ナレーション05「このようなこともあり、私は孤立してしまいました。他の数人もあの子についていってしまっていたからです。誰だって友達は多い方が良い。私みたいに友人が少ない人間の方に来る人なんていない。
そう思っていました。」
由衣06「今日から1人ね…。昼休みって長いわね……」
亮07「あのさ…あいつらと一緒に昼飯食べないのか…?」
由衣08「…あなたバカでしょ。昨日のあれ、見てなかったの?」
亮09「…お邪魔でなければお昼ご一緒してもよろしいですか?」
由衣10「よろしくない。
…私といたら、あんたまで孤立するわよ。今までの友達を捨てて、私といる価値なんてないでしょ。」
亮11「価値がないかは俺が決める。」
由衣12「……っ!……迷惑よ……。
あなたには関係ないじゃない!あの子たちと仲良くしてきなさいよ!!」
亮13「迷惑上等。もう関わったんだから関係なくないし。
そうやって自分の殻に閉じこもるの、直したほうがいいよ。」
由衣14「…あなたバカね……。…好きにすれば…。」
亮15「好きにするよ。」
由衣ナレーション16「こんなことで人を好きになるなんて馬鹿馬鹿しいかもしれません。
ですがあの時の私は食事なんてできないほど傷付いていて、孤独でした。
彼はあれから、私とよく一緒にいるようになりました。そしてそれは、あの子から離れていくことと同じことでした。」
由衣17「本当によかったの?」
亮18「……何が?」
由衣ナレーション19「彼は絶対に私に愚痴をこぼしたりしませんでした。いっそ怒りをぶつけてくれた方が楽なのに、彼はそれをしませんでした。
だから私は、彼にしてあげられることは何でもしてあげたいと思うようになりました。そして……」
由衣20「…ねぇ、佐藤って好きな人いたりする…?」
亮21「え?あぁ、いないよ。
俺の家母子家庭で母親が働きに出てるからさ、家事全般俺がやってるんだ。バイトもあるし余裕がないよ。何より興味もないけどな。」
由衣22「そ、そう…」
亮23「中野もいないんだろ?」
由衣24「そう、ね……。」
亮25「やっぱり!!」
由衣ナレーション26「彼の言葉を聞いた私は歯切れの悪い返事しかできませんでした。
彼を困らせたくない年から、私は彼への思いを胸のうちにしまうことに決めました。
この恋が永遠に叶わなくても………。」
prologue end