亮01「おはよー。」
緋乃02「おはよう。」
亮03「昨日と一昨日休んでたけど大丈夫か?風邪?」
緋乃04「うんまあ。でももう大丈夫。」
亮05「そっか……」
緋乃06「…何も言わないのは優しさ?それとも諦め?どっちにしろ気遣いになるのよね…ごめんなさい。」
亮07「謝るなよ。津田こそ嘘をついたのは優しさ?それとも単なる嫌がらせ?…どっちにしろ誰のためかって考えたらどうでも良くなったよ。」
緋乃08「結局は優しさじゃない…」
亮09「そりゃどうも。」
由衣10「佐藤ー、数学の教科書貸し…て……」
亮11「あ」
緋乃12「え?」
亮13「あ、あー!!数学の教科書な!分かったちょっと待て。」
由衣14「えぇ。」
緋乃15「まだ性懲りもなく」
由衣16「…もういいわ。」
緋乃17「は?」
由衣18「あんたがどうしてここまで私を嫌うのか…私の態度だけが気にさわるにしては度がすぎると思ってたの。だけどもういいわ。」
緋乃19「だから何が?」
由衣20「人を傷つけてまで友達を守ろうとする優しさをもつ甘い人間なんてただのバカよ。私、バカとは関わりたくないの。」
亮21「お取り込み中わるいけど、はい、教科書。」
由衣22「ありがとう。じゃあね、"津田さん"。」
緋乃23「待ちなさいよ!あんたはそれで良いの!?」
由衣24「……なんのこと?」
緋乃25「……っ」
由衣26「用はないの?それじゃあね。」
緋乃27「…もう……やっぱり我が儘だわ…!!」
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葵衣28「由衣ちゃんおはよう!」
悠人29「おーす。」
由衣30「んー………」
葵衣31「どしたの由衣ちゃん。」
由衣32「何かもう一生分のエネルギー使った…もうダメ、死ぬ……」
悠人33「佐藤に思いを伝えないまま死ぬのかー。上条の恋は無駄に砕け散ったことになるねー。」
由衣34「うっ………。」
葵衣35「由衣ちゃん、私ね。当たって砕けろだと思うの!」
悠人36「砕けちゃダメだと思うよ。まぁダメだって言っても砕けるときは上条のように粉々に砕けるけどさ。」
仁37「さっきから聞いてりゃ人を失恋の代名詞にしてるよなぁ…」
由衣38「本当のことだけどね…」
仁39「かなり元気になったようですね中野さん…」
由衣40「嬉しいでしょ?」
仁41「余計なことは言わねーよもう…。でも本当に清々しそうな顔してるよな。何かあった?」
由衣42「たまには逃げることも重要…そういう前向きさも大事だと思うのよね。だから…何もなかったことにしてきただけよ。」
仁43「そっか……」
由衣ナレ44「前進か後退かは分からないけれど踏み出しました。このことを間違ったことだとは思っていません。しかし、動き出すのは勿論私と彼女の時間だけではありません。ゆっくりと、その時は近づいてきていました。」
episode9 end.