由衣ナレ01「友達から縁を切られてまた友達に戻ると言う無意味な時間を過ごした私たちですが、忘れてはいけないのが受験生だということです。当然講習なども始まります。」

亮02「何が楽しくて青春の放課後を勉強に割かなきゃいけないんだろうなぁ…」

由衣03「あんたは勉強得意だからいいでしょ。」

亮04「お前にだけは言われたくねぇよ。前の実力テスト何位だったんだよ。」

由衣05「1位でしたが何か。」

亮06「嫌みかよ!俺だって7位だったのに!!」

由衣07「あんた…7位で悔しがってたら敵つくるわよ。」

亮08「まあな。あ、そうだ、今日この後どうすんの?」

由衣09「バイトあるから早めに帰るけど?」

亮10「あー、そうなんだ。そっかそっか。…俺も今日早めに帰らないといけないからさ、一緒に帰る?」

由衣11「べつにいいけど…帰る準備はさっさと済ませてよね。」

由衣ナレ12「憎まれ口を叩きつつ、その時の私は心の中では頬が緩みきっていました。そして、1時間半の講習を終えた帰り道。」

亮13「疲れたなー」

由衣14「そうね、簡単すぎてつまんない。」

亮15「お前なぁ…あ、志望大学とか決まってるのか?」

由衣16「聖椋(せいりょう)学院とか、そのあたり。佐藤もどう?」

亮17「中野にしてはレベル低いな。俺は佳南(かなん)大学かな。」

由衣18「佳南って…レベル高くない?」

亮19「だから、AO入試で佳南落ちたら公募で聖椋受けるつもり。」

由衣20「ふーん……」

亮21「もうこんな話やめようぜ!講習も終わったんだしさ!!」

由衣22「あんたから切り出したのよ?」

亮23「あははは。」

由衣24「誤魔化さないの。」

亮25「そんなことより気になることがあってさー。」

由衣25「何?」

亮26「仁と話した時なんだけど、やたらと恋愛に興味ないのかとか、もっと周りを見ろだとか言われてさぁ。何なんだろうな、あいつ。」

由衣27「好きなんじゃないの?良かったわね、貴方の大好きなBLよ?」

亮28「俺は違うからな!断じて違うからな!!」

由衣29「冗談よ。それで?興味あるの?ないの?」

亮30「ない。興味もないし余裕もない。ほら、前も言ったと思うけど俺の家母子家庭だからバイトしないといけないじゃん?家事もやってて忙しいから付き合うとか負担が増えるだけだし。」

由衣31「負担………。」

亮32「そんな顔すんなって!こうやって帰るくらいは息抜きにもなってるし、友達やめるとか言うなよ?」

由衣33「うん、言わない…絶対、言わない……。」

亮34「そんな固く決意することじゃないぞ…?あ、じゃあ俺こっちだから。」

由衣35「うん、じゃあね。」

亮36「おう、お疲れ!!」

由衣ナレ37「大学の話を聞いたとき、AO入試に落ちればいいのにと思っている自分がいました。落ちてくれれば同じ大学に通えるだなんてワガママな理由で…。大事なことも、失念してしまうくらいに…」

由衣38「絶対…言わないよ……」


episode8 end.





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