由衣モノローグ01「あの日から私は、何をしてきたんだろう。あの時彼に救ってもらって好きになって…。私はいつも与えられてばかりで、彼には何もできないで。それだけの時間が幸せをだったんだ。それだけが私の全てだったんだ。…あの時間が終わってしまった今…私も、終わってしまうのかもしれない。昔の、何もない私に……」
由衣ナレ02「そんなことを考え、何の進展もないまま私は三年生になりました。」
悠人03「中野、最近やつれた?今日なんてフラフラじゃん。」
葵衣04「由衣ちゃん大丈夫?保健室行く?」
由衣05「だいじょうぶ…」
仁06「…じゃないよなぁ。……俺保健室連れていってくる。」
由衣07「余計なことしないで……」
葵衣08「でも由衣ちゃん顔色もよくないよ?」
悠人09「それに、大丈夫って言う人に限って大丈夫じゃないのが普通だよね。行ってきた方がいいよ。先生には言っとくから。上条、よろしく。」
仁10「おう。」
仁11「失礼しまー…あっれー?保健の先生いないなー。まぁいっか。」
由衣12「…小さな親切大きなお世話って知ってる?」
仁13「憎まれ口に勢いがねーなぁ。大きなお世話でもいいだろ。それなりに負い目は感じてるんだから。」
由衣14「負い目…?」
仁15「佐藤に…聞きに行ったから、だろ?落ち込んでるのは。俺が余計なこと言ったから…。」
由衣16「確かに、ね…。でもそのおかげで確認は出来たんだからそれはいいの。私が言葉を選び損じただけなんだから落ち込ませてよ…」
仁17「お前が落ち込んでんのはやだ。」
由衣18「何でよ、負い目なんて感じなくていいのよ?私が落ち込みたくて落ち込んでるんだから…」
仁19「違う、もっとべつのこと…」
由衣20「……何?」
仁21「……好きな女が落ち込んでて喜ぶ男がいるなら見てみてーよ。」
由衣22「へ……。」
仁23「何だよ、もしかしてまったく気づいてなかったとか?」
由衣24「え、あ…あはは……」
仁25「はぁ!?マジでありえねえ!!何で!?俺のアピール全部無駄だった!?」
由衣26「アピールって何?」
仁27「知らねーよ!!色々やりすぎてもう忘れたよ!つかよく気づかなかったな!!」
由衣28「う……。あんたが正直に言ったから私も言うけど……私、佐藤のこと好きだから……」
仁29「…他は眼中になかったと?」
由衣30「まぁ………」
仁31「……っはぁー………ありえねぇ…。何この究極一途バカ…」
由衣32「うるさい。」
仁33「つーかいつから?前は好きじゃないって言ってたのに……」
由衣34「あれは嘘よ。私、佐藤に好きだって言うつもりはないから余計なことはしないでほしくて、危険な芽を摘んでいただけ。だから余計なこと言ったりしたら……この先は言わなくても分かるわね?」
仁35「わ、分かった。あの…ぶり返すようで悪いんだけどさ、何があったか…教えてもらっても差し支えは……」
由衣36「あるわ。」
仁37「ですよねー。」
由衣38「でも、上条にも関係あることだから話しておくわ。緋……津田さんが言うには『私が上条を探しているときに中野が知らないと嘘をついて彼と一緒にいた』ってことらしいわ。だけど私は全く覚えていない…」
仁39「そりゃあお前…嘘だからだろ。俺も、中野と佐藤の仲が険悪になる前に学校でお前と2人きりになった覚えねえし。」
由衣40「でも…どうやってそれを証明すれば……」
仁41「……よし、分かった!任せとけ!」
由衣モノローグ42「任せる…?……何を?」
episode6 end.