由衣01「避けられてる。」

仁02「誰に?」

由衣03「聞かなきゃ分かんないほどバカなら話しかけないでくれる?バカがうつるから。」

仁04「ひっどいなー。分かってるよ、佐藤のことだろ?でもお前こそ、心当たりくらいあるんじゃねえの?」

由衣05「ないわよ、喋ってもいないんだから。」

仁06「そうじゃなくて……あーもうバカだな!佐藤に関わるあまり良くないことで最近中野が関わったことと言えば?」

由衣07「あぁ、負け犬事件?」

仁08「いや、そんな面白いけど笑えない名前がついているかは知らないけど…。」

由衣09「つまり"津田さん"が関わっている、と?」

仁10「知らないけど、タイミング的には懸念してもいいだろ。それより1つ質問。」

由衣11「何よ?」

仁12「こないださ、俺が帰れって言っても帰らなかっただろ?それで…今までのこともあるし……えっと、間違えてたら悪いんだけど…佐藤のこと、好き…なのか…?」

由衣13「そんなわけないじゃない。どうして私が……」

由衣ナレ14「自分でも、ずいぶんと嘘をつくのが上手になった気がします。誤魔化さないといけない恋は人間をあっさり変えてしまうものです。」

仁15「そっか、気のせいか。」

由衣16「そう、気のせい。で、話ついでに私からも質問なんだけど、どうして私に助言したりするの?あんた彼女の友達なんでしょ?何、もしかして助言するふりをして私の行動範囲を狭めようとしている…とか?」

仁17「疑り深いなー。俺だって分かんないんだよ。まぁ本当はどうなのかが気になるなら佐藤に聞けば早いんじゃないか?正直に言いたいこと聞きたいこと言うのが一番いい。」

由衣18「…そうね。ありがとう、ちょっと行ってくるわ。」

仁19「………正直に言いたいことを言う、 か…。ははっ、人には言えねーや……。」

由衣ナレ20「聞かなければ始まらないと言うことに気付いた私は、すぐに彼を探しました。探すのに、時間はかかりませんでした。」

由衣21「……ねえ。」

亮22「何」

由衣23「最近、私のこと避けてるでしょ。何で?」

亮24「避けてない。」

由衣25「避けてる。」

亮26「避けてないって。」

由衣27「だったらちゃんと目を見て話しなさいよ!いっつも嘘つくときは目を見ないで…」

亮28「嘘ついてるのは中野だろ!」

由衣29「……は?」

亮30「津田に聞いた…。この前津田が中野に、上条がどこにいるか知らないかって聞いたら知らないって言ったけど、そのあとお前が上条と一緒にいたって…。」

由衣31「………何…それ…?」

亮32「誤魔化すなよ、津田が泣きながら言ってた。本当なんだろ?」

由衣33「泣きながら…言った程度で…?…ははっ…何?あんたたちデキてんの?」

亮34「何でそういう話になるんだよ!お前こそ上条が好きだから嘘ついて一緒にいたんじゃないのかよ!」

由衣35「っ!…………なら…………わよ……」

亮36「何だよ、聞こえない…」

由衣37「泣いて言えば信じてもらえるなら、私だって泣きながら言うわよ!泣きながら言ったらそいつが正義なの!?ばっかじゃないの!?そんなのが通るのって小学生だけだと思ってた!…全部……見てないくせに…!!」

亮38「中野……?」

由衣39「もういい!知らないっ!!」

由衣ナレ40「もういいなんて全く思っていませんでした。それでも、好きな人に違う人のことが好きなんだろと怒りを込めて言われるのはとても辛かったのです。涙なんて見せられなくて走り去ったので、このときの彼の心境も、彼の表情も、誰にもわかりません。」

episode5 end.



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