本音を猫に

ゾロが好き。一目惚れだった。
毎日毎日アピールしてるつもりなんだけどゾロは気付いてないみたいでいつも素っ気ない。

「ゾロ!」
「んぁ?」
「島に着いたら一緒に回ってくれない?」
「…別に構わねぇけど」
「ありがとっ!」

暫くするとルフィの声が船内に響いた。

「島に着いたぞー!!」

その声を合図にみんな島に降りていく。
みんな…?じゃあ誰が船番するの?

「わりぃ、あなたのなまえ…俺、船番だった」

後ろから声がしたので振り向くと欠伸をしながらゾロが向かってきた。

「そっか…じゃあ私も船番しようかな」
「いや、俺一人でいい」
「…分かった、じゃあゾロの分もお土産買ってくるね?」
「あぁ…」

行ってきます、と船を降りる。でもこれからどうしよう。とりあえずお土産を探そう…。

街をブラブラしているとお洒落なお店を見つけた。中に入ると小瓶に入った薬みたいな物が沢山ある。

「何これ」

瓶には動物の名前が書いてある。何かよくわかんないけどお土産に買っちゃえ!

猫と書いてある小瓶と犬と書いてある小瓶を買って早くも船に戻る事にした。
船に戻ると甲板でゾロが寝ているのを発見した。起こさないようにこっそり部屋にもどる。

「ふー…さっきの棚に直しとこうかな」

直そうと小瓶を手に取り動きを止める。

「美味しいのかな?」

そもそも飲み物なのかな?猫の分飲んでみようかな…。
ふたを開けて一口飲んでみる。

「何だ、ジュースじゃん!」

そう言った後、異変が起きた。クラクラする。何だか体が小さくなっていくような変な感じ。



異変が落ち着いてから目を開けるとやけに床が近い。そして何故か四足歩行の体勢。まさか…。
手にはふっくらした肉球、頭には耳、お尻には長い尻尾…。

私…猫になっちゃった?!



甲板で寝ているゾロを起こしに行く。
寝ているゾロ舌でペロペロ舐める。ゾロ起きてよー!

「んぁ?…猫?」
「ニャア!(私だよ!)」
「ん、腹でも減ってんのか?」
「ニャ!ニャア!(違うよ!猫になっちゃったんだよ!)」
「分かった分かった、エロコックが帰ってきたらメシ貰ってやるからな」

駄目だ。喋れないから伝わらない。

「見張り台にでも行くか?」
「ニャア(うん)」

私がゾロの肩に乗るとゾロは見張り台へと向かった。こんなにゾロと密着出来てしかも話し掛けてくれる…。猫も案外良いかも。

暫くするとみんなも船に帰ってきた。
そうか…もう夕方だね。

「あなたのなまえ…遅ぇな」

え?ゾロ…私を心配してくれてるの?

「…まぁ、どうせ飲んだり食べたりしてんだろうな」

失礼な!そんな大食いじゃありませんよーだ!

日が暮れて私を撫でているゾロの手が止まった。

「ニャア?(どうしたの?)」
「そろそろメシでも食うか」

キッチンな向かうとみんなが集合していた。

「あ!ゾロ!何処行ってたのよ!」
「見張り台だけど…」
「大変なの!あなたのなまえが帰ってこないのよ!」
「街で食べたり飲んだりしてんじゃねぇのか?」
「私達一通り街を見て回ったけどあなたのなまえを見掛けてないの…」
「あなたのなまえちゃん…誰かに拐われてなければいいけど…」
「俺があなたのなまえを取り戻す!」

ナミ、ロビン、サンジ、ルフィ…私は此処だよ!!

そんな中、チョッパーと目が合った。

「うぉっ!ゾロ!その猫どうしたんだ?」
「あぁ、コイツか?船に乗ってた」

あ、もしかしてチョッパーになら言葉通じるかも!

「ニャア!ニャア!(チョッパー!私だよ!)」
「チョッパー、コイツ何て言ってるか分かるか?」
「んー…流石の俺でもさっぱりダ」

最後の砦だったのに!するとチョッパーがゾロに耳打ちをした。

「この猫…微かにあなたのなまえのにおいがするゾ」
「あなたのなまえの…?」



ご飯を食べてゾロと見張り台に戻る。今夜はもう遅いから私の捜索は明日になった。…みんな、私は此処なんだよ。本当にごめん。

見張り台に着くとゾロはしゃがみ込んでため息をついた。

「はぁ…」
「ニャア?(どうしたの?)」
「お前、まさかあなたのなまえ?…んなわけねぇか」
「…」

ゾロは胡座をかきその上に私を乗せ、頭を撫でてきた。気持ちよくて思わず目を細める。

「俺が船番なんかしないで付いてってたらこんな事には…いや、一緒に船番するって誘いを断らなければ…」
「(ゾロ…)」
「バカだよな、俺…あなたのなまえの事本当は好きなのに素っ気ない態度取っちまって」
「ニャ…(嘘…)」
「あなたのなまえ見つけたらちゃんと告白しなきゃな…」

ゾロ素っ気ないから私の事どうでも良いんだって思ってた…。元に戻りたい…。戻って気持ちを伝えたいよ…。
するとゾロは私を抱きかかえた。

「お前があなたのなまえだったら良いのにな…」

そう言った後、ゾロは私にキスをした。

するとまたあの変な感じが私を襲った。
落ち着いた頃に目を開けると目の前には目を見開くゾロ。しかもキスしたまま。

「っぬわっ!!」

叫び声と共にゾロに突き飛ばされる。

「なっ!痛っ!!もう、何すんのよ」
「何すんのよって、お前…」
「え、あれ?私ゾロと会話してる?」

全身を触ってみると耳も無いし、尻尾もない。

「もどっ、た?」
「あなたのなまえ…猫だったのか?」
「薬飲んだら猫になっちゃったの!でも戻ったよ!ゾロッ!!」

嬉しくて思わず抱き締めた。

「ちょっ、やめろっ!」

赤面するゾロを見てさっきのことばを思い出す。

「そういえば…私の事好きって本当?」
「…あぁ」
「さっき、ちゃんと告白しなきゃって言ってたでしょ?ちゃんと告白してよ」
「〜っ!俺はあなたのなまえが好きだ!俺の女になってくれ」

真っ赤な顔を反らすゾロ。

「私も好きだよ、ゾロ!」


こうしてめでたく恋人同士になった私達。

「よし、んじゃあなたのなまえがさっきの猫だったってみんなに報告しねぇとな」
「そうだね」
「あと俺の女になったって事も、な?」


本音を猫に伝えて











(毬藻の野郎、猫になったあなたのなまえちゃんを襲ったりなんかしたんじゃねぇだろうな!)
(してねぇよっ!)
(そうだよ、キスだけだよ!)
(なっ!バカ、お前っ!)
(んだと?!クソ毬藻!あなたのなまえちゃんの唇奪うなんて百年早えーよ!)



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