好きな人に褒められたいって乙女の心情


「お姉すゎぁん!これくださぁぁい!」

サンジくんと街へ買い物に来たけど女の子に弱いこの人と一緒だといろいろとショックが多くて。
それは私がサンジくんの事を好きだから。

「綺麗なお姉さぁん!本当に麗しい!」

ほら、こうやって私の事なんか忘れてベタベタ。私なんかサンジくんに綺麗とか可愛いだなんて言われた事ないのに…。

「サンジくん、私買いたい物買ったし先に船に戻るね?」
「え、あなたのなまえちゃん?」

耐えられなくなって帰る事にした。
サンジくんの言葉を無視して。追いかけてくれるかも、と少し歩いて振り返るけど期待通りにはならなくて更にヘコむ。

「ただいまぁ…あ、ゾロ」
「おぉ、帰って来たか」
「ゾロ…私って女の子としてどうなのかな…」
「は?てめェ、な、何言ってんだ?」
「私って綺麗じゃないし、可愛くもないし…」
「なっ、そんな事ねェって!」
「じゃあどうなの?私は女の子として」
「…女として、それは…っ」
「……ごめん、わかんないよね」
「いや、そうじゃねェけど…」
「ありがとう、私部屋に戻るね?」

ゾロに申し訳ない事しちゃったな。
とにかくこんな気持ちのままじゃサンジくんに会えない。…今日はずっと部屋に居よう。そう思った矢先、部屋のドアを誰かがノックした。

「あなたのなまえちゃん、居るか?」
「…サンジくん?」
「ああ…入っても良いかい?」
「えっ、ちょっとそれは…ごめん」
「…何かあったのか?」
「いや、その…疲れちゃって…」
「…そうか、一緒に帰れなくてごめんな?じゃあ…夕食作ってくるから…」
「うん…」

サンジくん…私、どうやったら魅力的になれるのかな…。



「あなたのなまえ!夕食出来たって!」
「ナミ…ごめん、私食欲無いから良いや」
「…ちょっと、大丈夫なの?」
「うん、寝たら治ると思うから…ありがと、ナミ」


ナミが去ってしばらくするとこっちに向かって来る足音が聞こえた。

「何でマリモまで来るんだっ!」
「うるせェ!てめェには関係ねェだろうがっ!」

サンジくんとゾロが来ているのが声で確認出来た。
すると部屋のドアをノックされた。

「あなたのなまえ!」
「あなたのなまえちゃん!」
「真似すんじゃねェよ!クソコック!」
「てめェが真似したんだろうが!静かにしろよ!あなたのなまえちゃんは体調が悪いんだっ」
「サンジくん?ゾロ?」
「あなたのなまえ!お前大丈夫か?さっきはあんなにピンピンしてたじゃねェか!」
「てめェの価値観で決めつけんじゃねェ!あなたのなまえちゃん、何か食べれそうな物作ろうか?」
「サンジくん、ありがとう…でも本当に大丈夫だから」
「あなたのなまえちゃん…俺…っ」
「おいクソコック、ナミ達が呼んでるぞ」
「…〜っ!すぐ行きまぁす!」

ゾロの言葉に去って行く足音。サンジくん…心配して来てくれたけどすぐに行っちゃうなんて、私は一番になれないのかな。

「おい、入るぞ」
「えっ、ゾロ?」

鍵を掛けてなかった為、簡単にドアを開けられてしまった。

「ほら、これ食え」
「え、これは…?」
「鬼斬り」
「おにぎり?…ふふっ」
「なっ、何だよ!」
「ゾロがこんな事してくれるなんて思わなくて…ありがとうっ」
「そ、それなら良いんじゃねェか?」
「え?」
「さっき女としてどうとか言ってたけど、そうやって笑ってれば…その、…良いと思う」
「…ゾロ」
「あなたのなまえ、俺…っいや、何でもねェ…じゃあな」

ゾロは私の頭をくしゃっと撫で、部屋を出て行った。

「あなたのなまえちゃぁぁん!!」
「サンジくんっ?」

ゾロの出て行ったドアからサンジくんが入って来た。

「マリモの野郎に何もされなかったかい?」
「え、うん…用事は済んだの?」
「あれは、マリモの奴が嘘つきやがったみたいだ…」
「そう、だったの…」
「あなたのなまえちゃんと二人きりになりやがって…何するか分からねェからな」
「別に…私なんて可愛くないからゾロは何もしないよ、大丈夫だよ?」
「なっ、何言ってんだ!あなたのなまえちゃんは可愛いに決まってる!」
「でっ、でも!サンジくん…他の人には綺麗とか可愛いって言ってるけど、私には一度も…」
「あなたのなまえちゃんは物凄く可愛いさ!」
「何か言わせた感じになったね、ごめんね?」
「違うよ、本当の気持ちだ…それをずっと言えなかったのは…」
「…?」
「俺は…俺、あなたのなまえちゃんの事が好きだっ」
「え…それは、えっと」
「他の子には言える事があなたのなまえちゃんには何故か恥ずかしくて言えなかった…それは、本当に好きだから」
「それって…」
「あぁ、一人の女性として…あなたのなまえちゃんが好きだ」
「…わ、私もっ!サンジくんが好きっ!!」
「良かった…じゃあ、次は俺の不満ね?」
「不満…?」
「そ、名前…他のクルーは呼び捨てなのに俺だけ呼び捨てじゃないのが不満」

確かに。他の子にベタ褒めのサンジくんを見て私がショックを受けてたように、サンジくんは自分だけ呼び捨てじゃない事が嫌だったのか…。もしかしてお互い様だったかな?
そう思ってサンジくんを見ると、今すぐ呼んでくれと言うような熱い眼差しをしていた。

「えっと…サンジ…っ」
「あなたのなまえちゃん…それ、たまらなく可愛い」

私の顔は真っ赤になってしまった。それと同時にサンジの顔も真っ赤だった。

「あなたのなまえちゃん…そんなに俺から可愛いとか、言われたかったんだね」

そりゃあ…。




あなたが好きだから






(ゾロ〜?あなたのなまえの事、奪わなくていいの?)
(ナミッ!てめェッ、うるせェ!)




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