お見合い


私は大好きなスパンダムさんとお見合いをする事になった。

さすが長官様。お見合い会場は洋風高級レストランの様な場所だ。

ドレスに身を包みドキドキしながら待っているとカリファさんに連れられてスパンダムさんがやって来た。

「カリファ!止めろっ!俺は一生独り身で良いんだァ!!」
「一生独り身なんてセクハラです」
「えぇ?!何で!」

どうやらスパンダムさんはお見合いしたくないみたいだ。

「こちら、スパンダムさん」
「あ、私あなたのなまえって言います…よろしくお願いします」
「…おぅ」

凄くお見合いが嫌なのか…それとも私が嫌なのか…スパンダムさんは不機嫌だ。

「じゃああとは二人で…」

そう言って私とスパンダムさんは二人きりにされた。


「…」
「…あ、あの」
「んァ?」
「お見合いが嫌なら…今日はただの暇潰しだとでも思ってください」

暇潰し程度だって構わない。

「お前、変わってるな」
「え?」
「結婚したいから見合いするんじゃないのか?」
「そうですね、でも相手が乗り気じゃないのに無理矢理するのも…それに」
「?」
「私はスパンダムさんに会いたかっただけなんで」
「会いたいって…何でだ?」
「それは…スパンダムさんの事が好き、だから…」
「っ!!」
「だからスパンダムさんがお見合いを嫌がるなら…せめて暇潰しにでもなれば良いなって」
「…」


スパンダムさんは黙ってしまった。
暇潰しでも嫌だったかな…?

「あ、あの…?」
「よし!出掛けるぞ!」
「へ?」
「一緒に暇潰ししてくれるんだろ?街に行くぞ!」
「街?!でも私ドレス…」
「あ?あぁ、汚れたらクリーニング代くらい出してやるよ」
「ありがとうございます…って!そうじゃなくて…!」
「いいから行くぞ!」
「わっ!」

スパンダムさんに手を掴まれ街に連れて行かれた。
普段街に出たりしないらしく、お店ひとつひとつに目を輝かせていた。



「ふぅ、久しぶりだったからつい、はしゃいでしまったな」

カフェでコーヒーを飲みながら休憩を取る事にした。

「楽しかったなら良かったです」
「お、おう!…っぶぁぁっちぃ!!」

盛大にコーヒーを零すスパンダムさん。

「大丈夫ですか?!」
「まぁ…いつもの事だ」

慌てて布巾で服を拭くと制止されてしまった。

「っ、大丈夫だ!自分で拭く!!」

何故か顔が赤いスパンダムさん。
変なとこ触っちゃったかな…?



そらからしばらく話してからお見合い会場に戻る事にした。

「…っ!」

席を立った瞬間、足に痛みが走った。多分慣れない靴で歩き回ったせいだろう。
とにかくスパンダムさんにはバレないようにしよう。

「行くぞ?」
「あ、はいっ」
「今日は楽しかったなァ!」
「そうですね!…っ」

意識すればするほど痛くなってきちゃった…どうしよう。

「…さっきからどうしたんだ?」
「えっ?…いや、何も!」
「足、痛いのか?」
「何で…っ?!」
「歩き方、足庇う様な歩き方だ」
「…」
「仕方ねェな!っと、」
「わっ!!ちょっ、スパンダムさんっ?!」
「何だ?」

スパンダムさんはひょいと私をお姫様抱っこした。そんな行動に私の顔はみるみる赤くなる。

「皆見てますよっ!!」
「ドレス着てるからなァ…姫みたいだな!」
「じゃあスパンダムさんは王子様ですね!」
「っ?!なっ、バァカ!!」

それから会場に着くまでスパンダムさんの顔はずっと真っ赤だった。



「重いのにありがとうございました」
「いや、全然だ」

暫くの沈黙。
もう夕方。楽しい時間は本当にあっという間だ。

「あの!今日はありがとうございました!凄く楽しかったです…!」
「俺も楽しかったぜ」
「じゃあそろそろ時間なので…失礼します」

部屋を出ようとドアノブに手を掛けると長官に腕を掴まれ、阻止された。

「誰が帰って良いと言った?」
「えと、でも…もう夕方なので…」
「お見合いって言うのは好きになったら結婚出来るんだろ?」
「えぇ、まぁ…」
「じゃあお前、一緒に来い!」
「え?」
「いや、なんつーか、その…あれだ!」
「?」
「…っあなたのなまえ!」
「はい…!」
「…お前に惚れた」
「え、」
「お、俺とっ結婚してくれ!」

嘘…スパンダムさんが私を?

「こちらこそ!よろしくお願いしますっ!」
「っおう!」
「スパンダムさんが本当に私の王子様になりましたね!」
「なっ!じゃああなたのなまえは…」





俺の可愛いお姫様







(嬉しいですっ!)
(俺もだ!バァァカ)



お題配布元「確かに恋だった」

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