そうか、これが

俺は今、ド派手に腹が立っている。

原因は彼女のあなたのなまえとカバジだ。

最近やけに仲が良い。多分カバジはあなたのなまえが好きなんだろう。
今も俺の目の前で笑い合っている。

「ったくあなたのなまえは…」
「そう言うカバジだって…!」
「まぁな」
「ははっ、もうっ!」

お互いを小突き合って周りから見ればカップルみたいだ。

「くそッ!」

こんなときは酒だ酒だ!

俺は倉庫に籠って酒を飲むことにした。

「あー、うめェ…」

今夜の分はねェかもな…。

そんなことを考えてるとあなたのなまえがやって来た。

「バギー!探したよ!…ってお酒飲んでるの?!」
「うるせェな…」

素っ気ない俺の隣にあなたのなまえはちょこんと座る。
さっきまでカバジとイチャイチャしていたくせに…ソイツが今隣に居ると思うとイライラする。そしてこいつはさらに俺をイライラさせる一言を言った。

「さっきね、カバジに告白されちゃった…」
「は?」
「前から好きだった、って」

そこまで聞いて俺は立ち上がった。あなたのなまえを取られたくない。けどその気持ちを素直に表現できない。

「バギー?」
「…水飲んでくる」
「飲みすぎだよ!私も行くよ」
「いや、一人で良い」
「でも…」
「うっせェ!お前はカバジの所にでも行っとけ!!」

思ってもないことを言った。
あなたのなまえは驚いた顔をしていた。目に涙を溜めて。

その場に居られなくなった俺は逃げるように自室に帰った。











あれから数日、ずっと俺はあなたのなまえから逃げている。
もちろん好きだし抱き締めたい。でも気持ちと体がバラバラだ。体はバラバラになっても元に戻せる。だが、気持ちは無理みたいだ。
良い歳こいて情けねぇ。


「…バギー、ご飯だって…一緒に行、こう?」
「先に行ってろ、俺は後から行く」

そう言ってあなたのなまえに背を向けるとコートの裾を引っ張られた。

目線をそこにやるとあなたのなまえが引っ張っていることが確認できた。

「バギー、今夜少し話したいの…部屋で待ってる…」

それだけ伝えてあなたのなまえは走って行った。
きっと別れ話だ。



そんなこと考えていても部屋に来た俺は派手馬鹿野郎だ。
ノックをすると「どうぞ」と言われたので中に入る。

「バギー…来てくれてよかった…」
「…話って何だ?」
「最近、私のこと避けてる、よね?」
「…」
「もう私のこと嫌い…?」
「…そうじゃねェ!」

ここまで追い詰められて俺はやっと本音を言えそうだ。

「ほんと俺は不器用だなァ…」
「…?」
「あなたのなまえのこと好きで好きでたまらねぇのによ、カバジと話してるのみるとイライラしてつい冷たくしちまうんだ」
「…それって、嫉妬?」
「まぁ、そんなもんだ」
「そっか、よかった…」

安心している姿が可愛くて思わず抱き締めた。

「そういや、おめェカバジの告白…どうしたんだ?」
「もちろん断ったよ?私はバギー以外考えられないもん!」
「俺もあなたのなまえ以外考えられねぇよ」






そうか、これが嫉妬なのか。





(これからはあんまり俺から離れるなよ!)



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