振り向かせ方

部下のあなたのなまえ。俺はあなたのなまえが好きだ。
長官室に来るくせに俺とは絡んでくれねぇで。

「ルッチ!遊ぼう!」
「あぁ、」
「お前ら!遊ぶなら出てけェッ!!」

そう叫んだらルッチに睨まれた。くそッ!
まぁ、出ていって二人きりになられるのも困るけどよ。

あなたのなまえはルッチとソファで話してて俺に見向きもしない。

くそ…ルッチのやつあなたのなまえにはデレデレしやがって。
嫉妬する。ルッチなんか殴り飛ばしてあなたのなまえを連れ去りたい。
でも道力の差が大きすぎて実行出来ない。

少しでもあなたのなまえの気を引きたくてわざとコーヒーを溢してみる。

「っぶぁぁあっちぃぃいぃ!!」

思いの外熱かった。

そしてルッチに舌打ちをされた。あなたのなまえはそんなルッチを見て一瞬こっちを見たがすぐに目を逸らしてしまった。


あーあ、何してんだ俺は。ズボン濡らしてまで。


そんなことを考えてるとルッチが部屋に戻るらしく、ドアに手を掛けた。
あなたのなまえも戻るのかと思って見ていたがルッチを見送った後も出ていく様子がない。

「あなたのなまえは戻らないのか?」
「…仕事があるんで」
「仕事?んなモンあったか?」

長官の俺も知り得ない様な仕事があるのか?
なんて考えてたらあなたのなまえは俺のズボンを持って目の前にやって来た。目の前に居るのにあなたのなまえの目線は俺の足元で。

「後で履き替えてください」
「仕事ってこれか」
「はい…シミになると困ると思うので拭いておきますね」
「あなたのなまえ」
「はい?」
「俺のこと嫌いなら出ていっても良いんだぞ?」
「…え」

俺の言葉に驚いたみたいでズボンを拭く手が止まった。
でもやっぱり目線は俺に向けない。

「悪かったな」

そう言ってあなたのなまえの持ってきたズボンを持ち、長官室の扉に手を掛けたとき背中に重みを感じた。

「待って!!」
「あなたのなまえ?」

背中に感じた重みはあなたのなまえに抱き付かれているからだと分かった。

「ごめんなさい…私…長官が好きなのっ!!でも恥ずかしくて目見れなくて仕事以外で話し掛けられなくて…でも、でも傍に居たくて…っ」

そこまで聞いて我慢できなくなった俺は体をあなたのなまえに向け思いきり抱き締めた。

「っ長官!?」
「俺もあなたのなまえが好きだ!てっきり嫌われてるのかと思って…すまん!」

抱き締めていた腕の力を緩めるとあなたのなまえが真っ赤な顔で俺を見上げて、しかも微笑んだ。

「お前、可愛すぎる…///」




君の振り向かせ方






(もしかしてルッチに嫉妬した?)
(あぁ…俺は嫉妬深いから覚悟しとけよ?)



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