171十字架に掲げた悪夢



私は国を愛し、国のために剣を取った

国と民のために己の手を血で汚し、

侵略者達を殺めていった

私は今、十字架に磔られ

愛した国に民に“魔女”として殺されるなんて

思いもしなかった

いや、裏切られようと罵られようと

どうでもよかった



でも“魔女”の家族とし私の家族に手を掛けた!!!



父は殺され、母は殴られ、妹は首を吊った

愛していたのに

愛していたのに



ドウシテ、 誰カ  タスケテ




172古刀の錆と、新刀の輝き



人は老いるものだ

若葉が緑を深くし、色を変えて散るように

人は老いるのだ

全ては時の定め

生き物の定め

仕方がないのに人は望むのだろう



新 刀 ノ マ マ ノ 輝 キ ヲ




173石切で腕を伸ばして


水たまりに腕を伸ばして拾ったのは

―――青いビー玉

キラキラ輝いて アタシの手におさまる



今はもう昔の話だ

(でも私はアタシはあの輝きが好きだった)





174泣いてるのは、君


「あれ、なんで………」

ぽろぽろと、水は玉頬をつたった

「もう、いいんだよ」

そっと、その細い体を抱きしめた





175血で汚れた処刑人



赤黒い跡が屍を中心に広がった

吐気を呼び起こす臭いが鼻につく

刃についた血糊を死体の服で拭う



私は処刑人



政府に仇なす者を暗闇からその命を奪う

もう___何も感じない

ただ…あの日溜まりに戻れないことだけは分かった

それだけが酷く悲しかったんだと思う


もう、戻れない






176生きる証を求めて



あの人がいたから生きてこれた

あの人こそ生きる証

でも、あの人はいなくなった



「 お か ぁ さ ん 」



今はあの人が残したこの子が

生きる証

この子さえいればいい

いればいい

(狂った人)




177栓索者の寝言



「 皆、幸せだったらいいのにね

  幸せになれたらいいのにね 」



「 幸せに気付けるかどうかはその人次第 」

「 男だろうと女だろうと、若かろうとそうでなくても 」

「 あぁ、金持ちだろうと貧しかろうともね 」

「 おまえのそれは理想にしか過ぎない 」

「 詮索者、おまえはもう知っているだろ? 」




178それはナトリウム



人の町の外れのあばら屋はサナトリウム

そこに住むはチェロ弾き

チェロはサナトリウム

弾き手は医者じゃない医者



コンニチハ

アリガトウ

サヨウナラ



病い人は今宵も訪ねる




179人魚姫の短剣




____あの人を殺せず、先逝く私をお許し下さい




人ならざるモノが人に恋をした

恋は積もって愛に変わった

貴女の心はあれには届いていないのに

あれは貴女に恋慕の情を抱いていないのに

貴女はどうして諦めないの?

あれを殺めれば貴女は自由の身

殺めれば永遠に貴女のもの

それでも貴女は短剣を海に投げ捨てて、

ウタカタの身

短剣は血を吸わず、今も海の底


(貴女が戻ってきて欲しかった)

(まだ、ずっと一緒にいたかった)





180禁断のヴィジョン

(フィギュアと幼馴染み)

「 … 」

「 … 」

「だぁーーー!何スカートの中覗いてんのよ!」

「えっ?何色かなーって」

「セクハラよ!セクサスハラーめっ!」

「……ってもなぁ」

「女の子のスカート中は聖域で禁断なの!」

「って事は禁断のブイジョンを見たってことだな」







配布元:中途半端な言葉


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