161いつか大人になったら 大人になったなら アナタは認めてくれるかしら 大人になっても一緒にいれるかしら そして手を伸ばした 162苺と玩具と、無限大の雨 イチゴをつまみ、愛撫を落とす しとしとと降る長雨が行く先を阻む 玩具遊びにはもう、飽きた 寝具に理性を置きっぱなしにして 雨の街から逃げ出そうか ここは酷く息苦しい 163さっきから、うまく近づけない アナタを探し、彷徨い続けた もう、足が上手く動かない 軋んだ間接が痛みを訴える 立てない 上手く貴方の元へいけない 貴方は何処に 164黄枯茶のキオスク 乾いた大地にぽつりと東屋が一軒建っていた 人が離れて幾年もたったのか酷く痛んでいた きぃきぃと屋鳴りを起こし、さびしげな音だった 黄枯茶色の壁は酷く周りと一体化させていた 165湖心に投げた身体 夢を見た 思い描いた幸せな人生 続くはずだった明日への夢 途切れた鎖 湖の中央におちた 肉体は湖の底へ 御霊は明日の夢へ とらわれた 叶わぬ夢を描いて 生きているように錯覚して 明日をあると偽って 私は今日も夢を見る 166ひとりきりのオーケストラ 男が独り薄暗い(その男を除く)無人のホールの舞台に立っていた そっと指揮棒を振り上げ頭にオーケストラを思い描く 唄う木琴 奏でる金琴 響く打楽器 そしてオーケストラの音色に寄り添うはピアノ ピアノは力強く、しかし繊細に音をつむいだ 音は盛り上がり、調和し合い、クライマックスを告げた 音は津波となりホールに響きわたった カタン しかしここには誰もいない 指揮者が一人いるにしかすぎない 手から滑り堕ちた指揮棒が酷く悲し気に見えた 一人きりのオーケストラ 何て寂しいオーケストラ 聞く人も誰も いない 167背徳心の末 おりゃ、下道だ 全て自分さえ良けりゃーばよかった 乱暴だって働いたもんだった だがなぁ、俺はもうすぐ死ぬんだ じわじわと死が忍び寄る 確実に おりゃあ、死後を幸せに暮らしたいんじゃ 地獄が怖い 死にたくない でも、俺にはすがる先がねぇ 168叶わないと知っていたから 手を伸ばすのは、恐いよね 人を信じるのって、恐いよね 『裏切られるかもしれない』って、疑うよね 叶わないって、思っていたんだよね いや、 知ってたんだよね それでも君は <人> を愛すんだね 君は酷く優しいから だから僕が君を愛し、慈しんであげよう 169千切れた思い、繋ぐ人 私達の間に 俺達の間に “愛”何てもうなかった そう、言うならば惰性的に続けていただけ 別にどうでもよかった でも、“あの子”がいたから 私達は 俺達は 親子や夫婦を続けてこれた そして今は____ 170涙は見ないで おまえの鳴咽は妾の胸を締め付ける おまえの泣き顔は妾を悲しくさせる おまえの涙は妾の特別 あぁ、泣くではない 現が汝に優しくはなくても 妾は汝と供にあろう 配布元:中途半端な言葉 戻る |