151嵩から出た物言いの人


「何だ貴様」

「だから何だ」

「ふん」




152矢張り野に置け蓮華草


貴女の翼を手折ってはいけなかった

花のごとく柔らかく

雪の様に儚い

だからこそ私はその手を掴み、己が腕に抱きとめ

己のモノにしたかった

ゆっくりと貴女はくるっていった

貴女はもう___いない




153忘れる前に忘れて


___私が忘れる前に貴方は忘れて


優しい笑顔で君はいつも残酷だ

例えそれが僕を想ってでも


□■□


「○○さんの関係者の方はいらっしゃいますか?」

「ハイ、○○の関係者の××です」

「初めまして、主治医の△△です。
○○さんの脳内に悪性腫瘍があることをご存じですか?」

「……はい」

「現在の医療技術では痛みを和らげることしかできません」

「そんな!何とかならないんですか!?」

「……残念ながら……。
だから残りの時間を大切にしてください」

目の前が真っ暗になった

○○を助けることは絶望的だった

その時から全力で助けれる医師を探しだした


□■□


「もう、いいよ」

「えっ?」

君はそう言うと柔らかく笑った

脳内の腫瘍が肥大化して君は立てなくなった

寝たきりのベットからやっとで体を持ち上げ

窓の外を眩しそうに見つめていた

暑い夏の日々が窓の向こうに広がっていた

「もう……いいんだよ」

「あ、諦めるつもりなのか!?」

詰め寄ると、眉の端を下げて困ったように苦笑した

痩せ細り青白い掌が僕の頬を撫でた

掌はひんやりと冷たく、確かな“オワリ”の近さを訃げた

「私はもう助からない」

「なっ「だからお願いがあるの」

「………おねがい………?」

「私ね、少しづつ忘れていってるの。
子供の頃のこと、友人のこと、両親のこと、

そして……貴方のことを」

「だからね、私が忘れてしまう前に忘れて」

そして君は夏と供にこの世を去った

(忘れることなんてできるわけないのに)



154あなたの夢の手伝いを


アタクシは貴方を慕い申し上げていました

貴方の野望を叶えるにはアタクシが邪魔なのですよね

アタクシは貴方の野望が叶えられるように貴方から離れましょう

さようなら

貴方の野望が叶うよう

彼世で見守っております



155誰も彼も、要らない


僕に優しくない世界

僕ばかりに辛くあたる世界

そんな世界なら要らない

誰も要らない



156桃源郷は何処に


俺を受け入れてくれた平凡なる日常

君という居場所

失ってから気が付いた

トウゲンキョウ ハ ドコ ニ アルノ ダロウ カ ?


(君がいないからどこにもない)





157縁に抗う


「俺とあんたが出会ったことは偶然なんだ」

「全ては必然。偶然なんて存在しないわ」

「必然なんてない!たまたま…そう、たまたまなんだよ!」

「えぇ、宿命よ。宿命。」

「ちがうちがうちがうっ!」

「全ては繋がっている。貴方の知らない所でネ」

「そんなことっ…………!!!!」



―――所詮人ごときが天に逆らえると思う?




158壊されたトルゾ


足元に散らばるあの人が造ったトルソー

あの人が何をしたというのだろう

血が、国が、性別が、違うと言うだけで否定された



壊されたトルソー



あの人の想い出

灰色の空が泣き出した

さむいさむい冬がくる



(冬がくるから寒いのか)

(失った心が寒いのか)



159愁色を前に

君が立ち止まってしまう前に

僕が君を連れ去ろう

さぁ、羽ばたいて、風を切り、迷いを振りきろう

二人が一緒ならどこまでもいける

手を____




160鬼器啾々


子供が泣いている

親を求めて泣いている

許して

貴方は死んだの

私がちゃんと産んであげられなかったから

泣かないで

彼方の子

寂しさで胸がこんなにも苦しい



おいきなさい


おいきなさい



おいきなさい







配布元:中途半端な言葉


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