101紐解く価値観


「あんたが理解なんてできやしない」

「いつも偽善と欺瞞でのうのうと生きていたくせに」

「何も見なかったくせに」

「分かりあうなんてありえない」



「どうして人を殺すのよ!!!?」

「言ってくれなきゃ分かんないよ!!!」

「そんなこと・・・」

「・・・」

「私は_______」





102空白の三年間


いつも一緒だった

そして訪れた、一時のお別れ

私たちは同じなのに

空白の三年間が私たちを変えた

もう同じになんてなれない

(私は貴女、貴女は私だった)

(でも、イコールにはなれなくて)





103仮定と結論の偽装


「あーあ、知っちゃったんだ」



少年を見下ろしながら子供っぽい口調をやめた

子供らしからぬ冷めた瞳が鏡のように向かい側に立つ少年を写した



「だから、さようなら」



にっこりと、笑って少年を突き落とした

(知らないままだったら良かったのにね)





104風が吹く丘に、鐘のおと


誰もいない丘

永久につづく平野

遠くから聞こえる鐘の音








私は独りだ





105哀れな辻音楽師


誰も聴かない

誰も立ち止まらない

誰も気にやしない



音はタダ虚空に消えるだけ





106光に踊る白い羽


天使の祝福

白い羽根が大気に舞い踊り

まばゆい光を空から射した

祈りは形となりて、我らを守らん

「・・・神の御子さまだ・・・」





107言葉から声へ、声から笑みへ


小さなカードが本に挟まっていた



[   愛してる   ]



あの人が書いた文字

後ろから誰か抱きしめた

絶対あの人だ



「もう、いきなり抱きつかないでくださいよ」

「愛してる」


聞ん坊だけど、もう、しかたないなぁ

許す

にっこり笑って



「私も愛しています」





108気だるさの中でアダリンの結晶を


何もかもが めんどくさくなって

何もかもが どうでもよくなって

何もかもが 考えたくなくなって



アダリンの結晶をのもう



深く深く 目覚めなんていらないから

眠りたい





109桜の花の薄匂い


暗闇に甘い匂い

永劫の暗黒

うつらぬ 光 に

桜花を想い描かん





110悲歌にとけた身体


世界の悲しみの唄

滅びが世界を蝕む

そして 私の身体も



世界なんてイラナイ


ばいばい






配布元:中途半端な言葉


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