061その瞳、偽りの愛 貴方はいつもそう 貴方の瞳はいつも私を通り過ぎて別の誰かを見ているのでしょう? 優しく貴方は愛を囁いて 優しく貴方は私の躯に触れるけど 貴方はけして心には触れさせないんでしょう? 何人、何十人、何百人に貴方は愛されようと貴方は誰も愛さない 偽りの愛を囁くばかり いえ、愛と呼ぶのもおこがましい 恋とも呼べない 汚くて だから、もう――― 「終わりにしましょう?」 「・・・あぁ―――」 062硝子時計の針 裏路地を少し行った所には等身大のビスクド−ルが店頭に飾られている 俺はその店のアルバイトだ このビスクド−ルのエタ−はとても変っている 週に一度エタ−は少し湿らせた布で拭かれる (アルバイトの俺がエターの肌に布を走らす) エターの肌は半透明 遠目で見ればただの等身大のビスクド−ルだが、 近くで見ればその違いがよく分かった その躯はふわふわとしたゴシックロリータ調の服に包まれていた その服をひも解けばなめらかに未発達な曲線をエタ−はえがいた 全くもって美しい そして胸部は他よりも透明度は高く内容物を俺に見せた 中に入っていた物―――硝子時計 俺はエターの胸に耳を当てる 幽かにネジの回移転する音が聞こえた しかし針は永久に零時 けして、動かない停滞的永遠 愛おしいエタ−の冷たい唇に接吻を落とした (俺はきっと狂っている) 063永遠を告げる言葉 「愛しているよ。『エイエン』に君だけを」 「・・・至極、不愉快だわ。サヨウナラ」 「えっ!!!??」 不愉快だ 軽そうな男が吐いた言葉はこの世で一番嫌いな言葉 ”永遠” その言葉を使って良いのはあの人だけ 私を置いていってしまったあの人だけ 純粋で優しくて残酷なあの人だけ あの人こそ、永遠で あの人の告げる言葉こそ、永遠だった あんな男があの人を穢して良いはずがない! 私はあの人愛している 私はあの人だけを愛している 私はあの人こそ愛している 私はあの人の為に生きている これが私の『世界の”絶対”』 064たとえばこんな粉雪の朝 たとえばこんな粉雪の朝 降り積もった雪が私を世界から隔離させる 大嫌い 酷く寂しくて、ひとりぼっち でも、こんな粉雪の朝 貴方さえとなりにいるのなら世界は反転する 全てが愛おしい (貴方が私の世界の神で秩序で宗教) 065蹂躙された懺悔 「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「うそつき」 「本当は懺悔なんてしていないくせに」 「うそつき」 066あたしの手の平の温度 あたしの手の平の温度は低め お母さんは私よりもっと低め ○○ちゃんの手はもっと暖かい あたしの世界はそんな感じ 067絶対零度のプールバー 浮き立つ街の片隅にひっそりと地下に降りれる階段があった ふらりと私は誘われるがまま降りていった あんなに浮き立った街の騒音が遠くなる ネオンの明るさを置いて来たのひどく暗かった 私は行きあたった道の先の扉に手を掛け体を内へと滑り込ませた 透けるような深く冷たいアイスブルーのプールバー 打ち捨てられて忘れ去られた場所 二十歳ぐらいの男性が古びたソファーに座っていた 冷めた瞳が私を映す 誘われるがままに彼の前に歩み寄った そして接吻を一つ落とした そして行為は激しさをました絶対零度のプールバー 傍らには戯曲を行いましょう 068必然の狂気 あんたが狂うのは必然だった まぁ、今のあんたじゃ何もわかりやしないだろうけどな あの女があんたに会ったのは必然 あんたはハハオヤを何時も求めていたな そしてあの女にハハオヤを求めたんだろう? あの似た女に あの女が死んだのもまた必然 あんたは人間になりすぎた そしてやっと手に入れた光を失い____ あんたが狂うのも必然 そんなもんだろう? ジ ン セ イ ナ ン テ 069囲われた孤高 孤高の人のための孤高 囲われた私 金に買われて、心に触れず 孤高にいきゆく憐れな華 070寓話の神様 「神様は絶対なの」 「そして神様は私達をお見捨てにはしません」 「ねぇ、そうでしょう?」 「○○」 神様は絶対でもなければ、優しくもない そう、全てが残酷だ 「 姉さん !!!」 紅が染み込んだ服に身を包んでいた姉を見るまでは 寓話の神様だっているんだと思っていた ゆっくりと立ち上がり駆け出した 剣を手に持って 配布元:中途半端な言葉 戻る |