011永遠の箱庭


真っ白な立方体の家に 僕 と 君 の二人しかいない

他には何もナイ

家の中は天国

僕は君がいればいい

君も―――

全てが完結したセカイ

これこそ永遠の箱庭





012廃虚に吹く風


俺の世界はあいつらに壊されてしまった

貧しくとも満ち足りた世界

世界は廃虚に

吹く風はとてもさむい



とてもさむい





013孤独な奇跡


あの人はこの道を通っていた

あの人はこの花が好きだった

あの人は猫が苦手だった

あの人はこの空を見上げていた

あの人はここに住んでいた

あの人はもういない

私はあの人の軌跡を負って今を満たす





014或る少年と或る少女


スクランブル交差点

人ゴミの中

或る少年と或る少女は横を通った

歯車は回り始める

これがファーストコンタクト





015空っぽな曇り空


わたあめの ような ふわふわな くも

わたしは そのなかを たべて からっぽにするの

そのくもは そらを おおうの





016蝋燭の灯火のような心


蝋燭の灯火はとても儚い

ゆらゆらと揺れて、少しの風で消える

いつもいつも心は不安定で

精神安定剤を飲んでも、ただ苦いだけ

いっそう火力をあげて蝋を完全に溶かしてしまったほうが幸せかしら?

はやく燃え尽きましょう?





017深い深い森の中で


苔がうっそうとこびりつき、森を霧が覆う

無音の世界が広がり

ぐらぐら揺れる意識にはアンバランス

生き人が誰もこないここであんたは生きるのだろう?

生すらない静寂の深い深い森の奥で





018冷たい腕を掴んだ君


「・・・死んでしまった・・・」

ぐちゃぐちゃに涙をためて冷たい腕に縋り付く

全てに絶望し、世界を憎みますか?

あぁ、闇にすら願うのでしょう?

『イキカエラセテアゲマスヨ』

それは甘い甘い誘惑





019モノクロの微笑み


私の目には イロ が移らない

そう、昔からのこと

私は イロ を知らない

やさしい『貴方』の イロ を

私は感じられない

だから、やさしい『貴方』の微笑みは



いつも モノクロ





020変らない痛み


雨の日はいつも思い出す

そして犯した罪を―――

イタイ イタイ イタイ イタイ イタイ

傷跡が悲鳴をあげる





配布元:中途半端な言葉


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