初めての出会い
「あっ……間違えちゃった」
海沿いの道を走る車のテールランプの光が、薄汚れた窓ガラスを通して見るとぼんやりと柔らかく浮かぶ時間帯。
俺はこの光景を見るのが好きで、この時間は大抵一階で窓際の席に座って過ごしていた。
クラスのヤロー共と話が盛り上がって、初めて使ったインターネットでの買い物。
今日それが届いて、いつもの席でわくわくしながら段ボール箱を開け、手にとってみたら、その箱に書かれていたサイズを見て気づいた。
サイズを間違えて注文したことに。
ああー…すげー無駄な出費になっちゃった……。
注文確認のメールも来てたけど、面倒で開くことすらしなかったあの時の自分を軽く呪った。
「ククッ、オマエのいつからそんなに縮こまっちまったんだ?」
ちょうど自分の部屋から降りてきたコウが、俺がテーブルの上に投げ出した箱を手にとり、からかうような口調でそう言ってきた。
コウがソッチ関係で俺をからかおうなんて100年早いんだけど。
いや、あってはならないことだ。
「違うよ、これはお兄ちゃんのために買ったんだよ。ほら、前に恥ずかしくて自分じゃ買えねぇんだって言ってたじゃん?それ思い出してさ……ああ俺ってなんていい弟!弟の鑑!ってことでそれ1000円ね」
「あぁ?ゴムくらい普通に買えるわ!しかも、ンなサイズのいらねぇよ!つか俺のたまにパクってるクセによ……!こんのバカルカが!」
バンッとテーブルの上に叩きつけるかのようにその箱を置き、冷蔵庫の方へと向かって行った。
「ちぇっ…騙されなかったか……」
それにしても、これどうしようかなぁ?
俺もコウも使えないし……他に使えそうなヤツ…でもタダであげるのもつまんないよなー…。
と、その箱を弄りながら、どう頑張ってもサイズの合わないその箱の中身の使い道を考える。
うーんと……このサイズを使いそうなヤツって誰がいるかな……。
ニーナ?いやでも変なとこで勘が鋭いから、間違って買ったってバレてそこを突かれるのはイヤだし。ニーナに弄られるのなんてまっぴらごめん。
不二山とカイチョーはなんか……サイズ合わなさそう。
不二山は見た目のまんまデカそうだけど、カイチョーは見た目と違って意外と凶暴なモノを持ってそう。
うん、なんかそんな気がする。
ってことは……一人しかいないよね。
小さな頃から、イタズラを仕掛けたら引っかかってくれる一つ上の幼馴染。
だけど最近は警戒してるのか、なかなかイタズラをする機会すら与えてくれない。
……ここは奇襲攻撃を仕掛けるしかないか。
だって、セイちゃんはいつだって俺が思ってる以上のリアクションをしてくれるから。
そしてそのイタズラを成功させるためには、俺の前の席で淹れたてのコーヒーをお供に雑誌をめくってるコウの協力が必要だ。
コウも俺と同じでセイちゃんを弄り倒すことが好きだから、俺のプレゼンを聞いたらきっと乗ってくれるはずだ。
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