04
クリスの問い掛けにも反応せず、ピアーズは一点を見つめ険しい顔付きでいる。
場所は変わって、街から少し離れた質素なモーテルの二階の一室。元より狭く、全室の安全はすぐに確保されたが、長い間使用されていなかったのか室内は荒れて埃っぽい。
怪我人はヘリに受け渡せることになり、必要最低限の処置を受けた彼女は現在、撃たれたショックで気を失って、ベッドの上で眠っている。
「………」
「…ピアーズ」
「……すみません」
あの状況下では、誰が彼女を撃ってもおかしくはなかった。
だからといって言い訳にならないのもまた事実。その点についてクリスは彼の心境を十分に理解していた。
「ヘリはそこまで来てる。彼女を救護班に渡したあとまた合流しよう」
「…了解」
クリスはピアーズの肩を宥めるように叩くと、任務を遂行するため狭い部屋から去っていった。