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――――ガタッ!

「!」

数歩進んで、奥から聞こえた物音に彼は銃口を向ける。しかし何もいない、あるのは別の部屋へと繋がるドアだけだ。

直感的に杞憂で済まされないと感じたピアーズは、さらに奥へと続くドアを開けにゆく。

――――ギィッ…
「…っ!」

部屋を移った彼は酷い臭いに鼻を顔をしかめる。名前を置いてきたのは正解だった。
激臭を放つ正体を足元に見つけたピアーズは、一人思う。

チカチカ点滅する室内に惨殺された死体。見たところ死後1週間程度であろうか。
これだけは名前の目に触れることがないようにしなければ。

臭いの原因は他にもあった。デスクの上には古臭い施設に不似合いな、食べかけの蝿のたかったファストフード。それをおもしにするように、下には散乱した資料とファイルが置いてある。

「!」

どれどれと、資料の一部を手に取れば不穏な内容が並べられていた。
どうやらB.O.W.達が商品として取り引きされていることを示す内容が、事細やかに記してあるのだ。



―――ゴトッ!ガタガタンッ!!

「――!?」

暫く資料を読み漁っていると、天井が揺れてぱらぱらと埃が降ってきた。上で何か暴れまわっているのか?
動く謎の音の後を確かめるため、ピアーズは追いかけてまた新たなドアへと手を掛ける。

「………」

抜けた先は、先ほどと似たような扉が連なる通路が続いていた。音はなく、やつの気配も感じられない。


「!」

ピアーズが進んで間もなくしてのこと、彼ははっとした。いるはずのない名前の悲鳴が後方から微かに聞こえてきたからだ。

――――ガタガタガタッッ…!!

「しまったっ…!?」

天井を這う音が凄まじい勢いで頭上を通りすぎていく。

名前の悲鳴に反応したのに違いない。
ピアーズも音を追うように、もと来た部屋のドアを開ければ、暗闇の中から耳をつんざく叫び声が聞こえてきた。

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