Clap
小さな幸せ5題
『居心地良い場所』
凛々の明星に命を預け、
“レイヴン”として生きることを決めた。
それでも、帝国騎士団も支えなければいけないし、
もちろんギルドだって支えなければいけない。
「…疲れるわ」
しかし、そんなこと言ってられない。
休む時間なんて、俺には与えられていないのだから。
「おっさん」
「…」
「おい、おっさん!」
「っ!?」
肩をビクリと揺らす。
完全に意識を飛ばしていた。
疲れている、なんてバレたら困る。
やらなければならないことが、まだたくさんあるのだからー。
「ど、どうしたの青年っ…」
「こっちのセリフだ。大丈夫か?」
「へ、平気平気!」
「…」
笑って誤魔化そうとする俺を、青年はジロリと睨んだ。
(…これは、もしかしなくても…バレて、いる?)
「ったく…10分休憩な?」
「…え?」
「あんたの事だ。やること残ってるからって一日休みにしてもこっそりやっちまうだろ。だから10分休み」
どうだ?と笑う青年を見つめた。
どうして、こんなにも俺のことがわかるのだ。
「…うん、ありがと」
「少し寝ろよ。肩でも膝でも貸してやる」
「…じゃ、肩借りるわ」
居心地良い場所
(自分のことを、少しでも分かってもらえてることが、こんなにも嬉しいなんてーね。)
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