爬蟲類の夢
在る意味を捜し続けて
なるようにしかならないのに捜す意味すら失って仕舞っていたのも気が付かない
君が何を見ているのかと訊ねたから
私は雲の色を見ているのだと云った
出す声も亡く
考える頭も亡く
ある日忽然と消えて終うかも知れないから
愉しいから見ているのではないと云ってやった
何処かの見知らぬ小説家が
人が想像できることは、必ず人が実現できる。
そう言ったから
いつか空も飛べる筈だと鳴いて見せた
嗚呼君には天板から垂れ下がる蜘蛛が見えないのかと悲しくなる
怒りと憎しみに境界を引くのは難しく
悲しみと虚しさ程曖昧に絡み合う
総てが砂の様に飛ばされて
やがて
あの雲が雷を寄せる頃には、
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