モノツキ | ナノ


キーンコーンカーンコーン。

鳴り響くチャイムに合わせて、ガタガタと慌ただしい音が教室に響く。

帝都立クロガネ第二高等学校。
その一室にいつもと同じように朝がきて いつもと同じように生徒達が席につき、いつもと同じように授業が始まった。


「アイウチー」

「はーい」

「アンドー」

「へーい」

「イノウエー」


そして、いつものように出席の点呼がとられ、教師が席を見ながら、生徒の名前を読んでいく。


「ハシモトー」

「はい」

「ヒヤマー」

「ういーっす」


だが、そこに一つ。些細な綻びが出来ていた。


「ホシムラー……なんだ、今日も欠席か?マツノー、プリントいれておいてやってくれー」

「はぁーい」

「ほんと、珍しいよね。あの子が学校来てないって」

「あの子、小学校から同じだったけど、ほとんど休んだことなかったのに」

「親戚と顔合わせたくねぇから風邪ひいても学校来てたって聞いたけどマジ?」

「あの後保健室行って、結局迎えに来たおばさんにすっごい叱られてたけどねー。なんか怖かったよあのおばさん」

「三年の先輩から聞いたんだけど、ホシムラさんって卒業したら家出されちゃうんでしょ?なんかカワイソーだよね」

「あ、俺も聞いたそれ。金いるからなんかやべぇバイトしてるって」

「モノツキ相手に援交だろ?あんな大人しそうな顔でなぁ」

「もしかしたら、拉致とかされてんのかなぁ」

「誰かあいつのケー番とか知らねぇの?本人に聞こうぜ」

「知らないわよ。あの子のこと知ってて…話しかけれる奴なんかいないでしょ」

「なんかホシムラさんってさ、話しかけにくいじゃん。変なこと言って神経逆撫でたらアレだし…」

「自分から絡んでくることもないしな。なんか、学校来ても家と変わらないって感じするよね」


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