「まだそんな口叩けるほど余裕があんのか」 「いやほんとこの薬すごくてさ、俺だって大嫌いな相手に犯されたくなんかないよ。こんな惨めな姿にされて最悪だって思ってるんだけど、それ以上に全身疼いてて壊れちゃいそう、っていうかもう壊れてるかもしれないね。さっきからシズちゃんのチンポのことしか考えられないんだ…」 精液で汚れきった顔を拭いもせずに臨也は一気にまくしたてて言った。息があがっているはずなのに、そんなことなど微塵も感じさせないようなしゃべり具合だった。 壊れているかもしれないと言う割には確信的に誘われているような気がして、背筋をぞくぞくとした寒気が駆け抜けた。 ここを踏み越えればきっと戻れないだろうな、と思いながらこのまま見過ごすこともできなくなっていた。 「俺のもんが欲しいんじゃなくて、今のてめぇは誰でもいいんだろ?チンポだったらなんでもいいんだろ?」 「酷いなぁ、こんなすごいの見せられて他がいいなんて思うわけないだろ?シズちゃんのがいいんだよ…シズちゃんがいい…俺にはシズちゃんしかいない…」 俺は馬鹿にするように罵ったのだが、そんな嫌味など聞こえないとでもいうように妖艶に微笑みながら何度も名前を呼んだ。 「このまま縛りあげてその辺に放り投げておくってのも面白そうだな」 「まったくこれだけお願いしてるのに、責任取ってくれないの?シズちゃんのことしか見えなくなった責任早く取ってよ」 「どうすっかなぁ…?」 言いながら臨也の顔から離れてソファをギシギシと軋ませながら下のほうまで移動した。まだ硬さは戻ってきていなかったが、煽られた興奮で徐々に勃ちあがりかけていた。 これからどうするかと考えながら、まだ玩具に弄ばれて小刻みに震えてる臨也の後ろに手を伸ばしバイブをわざと一度奥に突っこんでからおもいっきり強い力で引き抜いて机の上に投げ捨てた。 「…ッ、はああぁ……!っぅ…」 あまりに急激なその振動に奴はモノを勃起させて暫く身悶えしていたようだが、やがて涙に濡れた熱い視線を俺に向けてきやがった。それを見てもう逃げられないと思った。 「おいてめぇバックからやってやるから、はしたねぇ尻こっちに向けろ」 「やっぱり獣だねぇ。ま、犯してくれるんならなんでもいいよ…っ」 臨也は凄艶な笑みをこぼしながら言うとおりにあおむけになり、いうとおりに腰をこっちにおもいっきり突き出してきた。ローションとバイブでぐちゃぐちゃに赤黒くなったそこがはっきりと見ることができた。 だがもうそれどころではなかった。 「好きに、していいよ…ッ、うぅはああぁぁあ……ッ!!」 乱暴に両手で腰を掴んで固定し一気に自身を、欲望のままに無理矢理ねじこんだ。するとすぐにあたたかいものに包まれて、それだけでイッってしまいそうなぐらい強烈に惹きこまれた。 奴の口に突っこんだ時とは比べ物にならないぐらいそこは締めつけられて、思わず歯軋りをした。こんなすぐに出したとあってはバカにされるのは目に見えていたからだ。 足にぐっと力を入れて前傾姿勢で体重を乗せながら奥へと侵入させていくと、あっさりと最奥まで潜りこむことができた。 「はっ、はあぁ、はぁ、は……す、ごすぎ…ッああぁ……」 ほっと安堵の息をついた直後、試しに突いてみると大きな悲鳴があがった。中もぎゅうっと刺激されて、性欲が搾り取られていくようだった。予想外の強い反応に口元を歪ませて笑っていた。 「はは、こりゃいいなぁ。喧嘩するよりよっぽど健全でやりがいのある勝負だ」 完全に俺の方が優勢ではあったが、これは勝負なのだと思った。どっちかが倒れるまで、イくまでの攻防なのだ。いくら勝てる戦いであっても臨也相手に手加減する必要は無いと理解した。 いつの間にか焦りなのか緊張なのかはわからなかったが全身にびっしょり汗をかいていた。普段であれば気持ち悪いだけなのだが、そんなことが気にならないほど意識を集中させて本格的に体を動かし始めた。 「う、ああぁぁッ…あぁ、あはっ、ふうぅ、ん、んああぁ……!」 位置的に顔は見ることが出来なかったが、これまでとは明らかに違う甲高い女のような媚びたあえぎ声が耳に響くのが心地よかった。 俺にとってははじめての行為なので要領はわからなかったが、ただひたすら早い速度で前後に出し入れを繰り返し続けた。肌と肌とがぶつかる時のパンパンという音がこんなに大きな音だとは想像もしていなかった。 ローションやいろいろなものが混ざり合った部分もぐちゃぐちゃと卑猥な音を奏でていた。それだけでもう随分と気分が高揚し、臨也を支配しているという満足感で心地よくなっていた。 すぐにでも中にぶちまけたい気分だったがそのまま抑えこんで、体力の続く限り腰を揺らした。 「ひ、ぁあ、むりッ…こ、んなの…うう、んぁ、はあぁ、はッ…」 随分と長い時間そうしていたように思えたが実際にはどのぐらい経っていたのかは定かではない。 完全に頭がとんでしまったのか、突然臨也がソファに縋りつくように体を折り曲げてなりふり構わず頬を押しつけて腰を大きく振りはじめた。こっちも負けていられなかったが、信じられないぐらいの締めつけに疼きが先端まで徐々に押しあがってきていた。 「あはッ、はぁ、はうぅぅん、ん、も…でるッ、ん、うぅ…」 「クソッ…じゃあ俺も中に出してやるぜッ!!」 向こうも限界なのがわかったので、仕方なくのっかることにした。頂点に向かって更に動きを早めて細かく振動すると、すぐに解放の瞬間が訪れた。 「ひゃああぁっぁぁ…ん、ううぅぅはああぁぁ…やあ、あぁ、うあぁ……!!」 俺が精液を吐き出したと同時に臨也も快楽の声をあげて白濁液を盛大に撒き散らした。体の中に精を注がれながら吐き出すとはなんとも不思議な光景だった。 すぐにぐったりと脱力しかけた腰を支えながら最後の一滴まですべてを出しつくした。安堵の息を漏らして息を落ち着けていると話しかけられた。 「あぁ…シ、ズちゃんの…ッ…あったかい…なぁ…」 あえぎすぎた為か掠れきっていたけれど、とても穏やかで優しい口調だった。どうしてこの場面でそんな風にいうのかわからなくて、少しばかり困惑した。 やっぱりコイツのことはわかんねぇなと思いながら、もう少しだけ余韻に浸るように瞳を閉じて深くため息をついた。 text top |