俺達の愛玩ペット2 | ナノ

二人のもの、という言葉に余計に不安になる。だっておかしいのが一人ならまだしも、ここには二人も居るのだ。二対一の多数決を取れば負けてしまう。
逃げられない、という絶望的な事実に動揺を隠すことができない。なにより、俺が簡単に騙されてしまったことも歯痒かった。
絶対的な信頼があったのだ。平和島静雄と、平和島幽は、性格的にも卑怯なことや悪そのものを嫌う。それは過去に臨也が何度も彼らを陥れてきたからだ。
二人がかりで一人を捕まえる。しかも薬まで使うなんて、と今でも信じられないぐらいだ。一体なにがあったのだろう。
一番不可解なのは、俺のことをペットだと言ったことだ。しかも二人のものだと。

「信じらんない。どうしたのさ、二人共。おかしくなっちゃった?」
「おかしくねえよ。俺達は楽しみにしてたぜ。手前を捕まえて、ペットにするのをよお」
「ああもしかして、今までした仕打ちに対して復讐したいって?」
「違うな」
「え?」

わざと茶化すようにいつもの口調で笑みを浮かべながら言ったのだが、二人共動じなかった。それどころか、互いに視線を何度も交わしてこっちに近づいて来る。
慌てて手をついて起きあがろうとしたが、うまく力が入らない。さっき打たれた薬のせいだろう。最悪だ。

「復讐なんかじゃねえ。もっと楽しく遊ぼうぜ」
「…っ、なに。やめろ、近寄るなッ!」

シズちゃんは薄笑いを浮かべながら鎖を引いたので、ズルズルと体が引きずられる。怖かった。何を考えているのか、全く理解できなかったから。

「おかしいな。薬なかなか効かねえ」
「兄さん、まだあまり時間が経ってないから」
「そうか。折角いっぱい打ってやったのによお」
「ちょ、っと待てよ!いっぱい、って…一体何本、っ」

俺の体の後ろにシズちゃんが、前に幽が寄ってきて逃げ場なんてなかった。焦っていると、薬を何本か打ったと言われて慌てた。
痛みの一番酷い箇所は手首だったが、枷に隠されてどのぐらい打たれたのか跡を確認できない。混乱しているとあっさり教えられる。

「五本ぐらいか?」
「六本だよ」
「なっ…なんだって!?い、一度にそんなに打つなんて!いくら体に害はないとはいえ、量を間違えれば何が起きるか」
「大丈夫だろ?だって手前の体結構頑丈じゃねえか。俺がぶん殴って怪我させても、次の日には絶対仕返ししてきただろ」
「それは新羅に治療して貰ったからだ。薬なんて一番危ない…っ、んぅ!?」

尋常じゃない量の媚薬を打たれたことに動揺する。確かに俺の体は普通の人間よりは頑丈な方だが、薬には耐性が無い。想像を超えた量に、これは嘘だと言って欲しかった。
予想外過ぎる事態に唇を噛んでいると、突然シズちゃんに肩を掴まれて体を持ちあげられてしっかりと掴まれる。前を見ると、幽かが俺のナイフを持っていて中のシャツを引き裂く。

「やめろよ!こんなことしても、俺は絶対に屈しないから。助けてくれとか、そんな惨めなこと…」
「助けてと言われても、逃がしませんよ」
「えっ…」
「そうだ。手前が喚いてもここから出す気なんてねえよ。言ってんだろ、遊ぶって」

無言でシャツを引き裂き、体から綺麗に剥ぎ取った幽が冷たい口調で言った。コートはそのままだったので、素肌だけが晒される。そのままズボンのベルトにも手を伸ばす。
逃がすつもりはない、とシズちゃんにも念押しされて頭の中が真っ白になる。何が目的なのか、遊ぶというのは多分淫らなことをするのだろうが、本当にそれだけなのかと。
ペットと言っていたということは、人間扱いをするつもりはないのだろう。玩具のように、一方的に行為を強いるのだ。
胸がズキズキと痛む。とうとうズボンに手がかけられて、脱がされていくのをぼんやり見つめる。
喚いて抵抗する気力が一気に失われる。ショックだったからだ。
悲しいことに、俺はシズちゃんのことが好きだった。
好きという気持ちを言葉に出来ず、嫌がらせという方法でしか示せなかった。せめて嫌悪という形で自分の方を向いて欲しかったのだ。
それがどこを間違ってこんなことになったのか、わからない。だけどこれから、好きな相手に玩具のように扱われるのだ。悔しいという気持ちよりは、ひたすらに悲しかった。
告白する気なんてなかったけれど、好意を抱いている相手に虐げられるなんて。あんまりだった。それだけは決してないと思っていたのに。

「どうした?急に黙って、緊張してんのか」
「…っ、う」
「恥ずかしいですか?」
「そんな、こと…っ、あ、やめろ!そこは!!」

反抗する気力を無くしていると、とうとう下着にナイフの刃が当てられてしまいさすがに叫んだ。しかし容赦なく切られてしまい、おもいっきり唇を噛む。

「まだ反応してないってことは、媚薬は効いてないみたいですね」
「手前結構小せえんだな。可愛い形してんじゃねえか」
「さわるなッ!こんなの、ふざけるな!離せ、やめろ、嫌だッ!!」

同姓に性器のことを指摘されて、全身から火が出そうなほど恥ずかしくなる。褒めているように聞こえるが、どう考えても嫌がらせだった。ここで怒らなければ、どこで切れるというのだろう。
頭を振り乱すと鎖がジャラジャラと激しく鳴る。二人を煽る行為だとわかっていながら、見過ごすことなんてできなかった。だが。

「やだ、っ…んっ、う!?な、ぁ…あっ、あ」
「どうした?体震えてんぞ」
「薬が効いてきた?臨也さん」

突然全身が大きくビクンと震えた後に、背筋をゾクゾクと寒気がかけあがっていき手足が冷たくなる。額に汗が浮いて、麻痺したかのような震えはどんどん広がっていった。
まともに思考も働かなくなり、言葉にならない声が漏れる。呼吸も早くなっていき、自分で体がコントロールできなくなってしまう。

「んっ、う…ぐ」
「少し勃ってきた」
「なんだと。おい俺にもよく見せろ」
「えっ…あぁっ!?」

次に激しい疼きと熱が体の内側からせりあがってきて、ヤバイと思った時には幽に指摘されていた。半分勃起していると。そしてシズちゃんが、背後から身を乗り出してそこを覗き見た。
しかしよく見えなかったのか、両膝部分を掴まれて大きく左右に開かされる。すると中心部分がしっかりと晒されて、羞恥と悔しさが一気に押し寄せて来た。

「いっ、やだあっ!やめ、ろ…うっ、はぁ、嫌だって!」
「暴れんなって。ほら見ろよ、手前のちんこしっかり勃ってきてるだろ?」
「ぁ、あっあ!うぅ、っ…最低」

見られたくなくて足を閉じようとするのに、しっかりと掴まれていてびくともしない。それどころか、シズちゃんが首輪の鎖を引っ張って強制的に下を向かされる。
背中を丸めて、自身がどうなっているかを見せられた。さわられてもいないし、性欲があるわけでもないのに、そこは勃っていて小刻みに揺れている。

「じゃあ兄さん」
「おう。こいつは俺が抑えておくから、しっかり解してやれ」
「ぐっ、うぅ、く…なに、を」

二人が何を指示したのかわからず混乱していると、ベッドの端に置いていたらしい物を幽が掴み戻ってくる。透明の容器の先端にチューブがついていて、傾けると中から粘ついたものが垂れる。
彼は自分の手のひらに塗り広げていたが、突然こっちを向いて指先を伸ばしてくる。息をのんでいると、冷たくぬるついた指がとんでもないところを擦りあげた。

「あっ…!?冷た…ぁ、なに、どうして」
「見てわかるだろうが。ここ解して中に突っ込むんだよ」
「痛くしませんから。媚薬も効いてるみたいですし、きっと気持ちよくなれます」
「いっ、嫌だッ!離せっ、ぁ、さわる…な、ぁ、うぅ!」

全くわからないわけじゃなかった。ただ自分で気づきたくなかっただけだ。確かに媚薬を打たれて玩具にされるのならば、そこを使うしかない。
そんな事実を認めたくなかったのだ。無理矢理性行為を二人が強要しようとしているなんて、嘘だと信じていたかった。

「大丈夫ですから。ほら」
「っ、ひぁ…擦るな、ぁ、んうぅ…ぐ、あ」
「力抜いて下さい」
「やぁ、あっ…無理、だ、っ、ん」

たっぷりとローションを後ろの周辺に塗りたくられて、追加の粘液もどんどん垂らされていく。ぐちゃぐちゃと淫猥に響き始めたが、全身が震えて変に力が入る。
このまま耐えていたら、指をそこに入れられることもないだろうと思っていたのだが。耳元で声がした。

「なあ幽。俺にいい考えがある」

嫌な予感がした。

text top