「うわ、すごいおっきぃ…」 「ってこら、手前なに臭い嗅いでんだよ!や、やめろ、って…!!」 「おいしそうな、におい…だよ?」 ぎこちなくベルトを外していた俺の手を遮って、慣れた仕草で外していって下着をずり下げられ露わになったモノを目にした臨也はうっとりと微笑んでいた。 こいつを抱くと決めた時からガチガチに昂ぶっていたそれの大きさを指摘しながら、顔を寄せてきて臭いを嗅いでいるようだったので咎めた。 すると舌なめずりをしながらおいしそうだと言ってくる姿に、眩暈がした。 目の前の男は俺の事をシズちゃんとは呼んでこない。 それどころか臨也だった時の嫌味な口ぶりや、笑い方を一切しない。 だというのにすべてが、折原臨也であった。 サイケに襲い掛かられた時とはまるで逆だった。あの時は姿形や仕草の一つ一つでさえ臨也らしさが見られた。 それなのに折原臨也ではなかった。 明らかに違っていた。 けれども今は偽りのアンドロイドを演じている姿なのに、すべてが臨也だった。 その事実に気持ちが暴走しそうになってしまう。薄く開いた唇に乱暴に舌を突き入れて、むさぼって澄ました顔を歪めさせたくなる。 そんな呆けたような無邪気な面してねえで、睨みつけてこいと叫びたくなる。 すべてを必死に心の中に押しとどめようとしているうちに、下半身は異常なぐらいに興奮しきっていた。 「こんなにしる、たらして…かわいいね…んっ、ぅ、どうしよう、やっぱりすぐ…ほしいなぁ、だめかな?」 すぐ傍で臨也の息遣いが聞こえた。同時にごくりと喉を鳴らす音もやけに大きく響いて耳に届いた。 切なそうなため息をこぼす度に、俺の先走りでどろどろになった先端部分に息が掛かって、それがとてももどかしかった。 俺だって早く突っ込みたいと言っていいのか困っているうちに、向こうが動いた。 「だいじょうぶ、すごく…きもち、いぃからっ…しめつけて、よくさせてあげるから…だからえんりょなく、おかしてね?」 いきなり体を起きあがらせて、俺の腹の上に腰を落としたかと思うと、そそり立つモノの上に自身の入口を宛がってきた。 添えただけだと言うのに、そこはぬるぬるに濡れていて女のそれとほとんど一緒だった。ただしそうなっているのは、先に何人もの男のモノを受け入れていたからだったのだが。 光に反射している粘液は、さっきまで群がっていた卑劣な男達の白濁液だった。思い返す度に腹の底が煮えくりそうなほど怒りが沸いていたが、しかしすぐに押しとどめられた。 変わりとばかりに、素直な言葉を告げた。 「綺麗だな」 「え?なんで…?」 「すごく綺麗、じゃねえか」 こいつじゃなくても、きっと誰もが首を傾げるだろうとは思ったが、俺は目の前の臨也がすごく綺麗に見えたからそう言ったのだ。 想像以上にこいつの体は肌が白く、あちこちに傷や痣を作ってはいたけれど、柔らかで弾力もあり少し汗ばんでいる感触が心地よかった。 いくら精液にまみれていようと、別人格になるほど心が壊れかけていようとも、本来持っているものは何も失ってはいなくて俺には輝いているように見えた。 一見して臨也ではないけれど、ちょっとした動作や雰囲気が臨也そのものすぎて、体の奥がキリキリと痛んだ。 「よくわかんない…でも、きもちよければ、なんでもいいや…ほら、はやくほしくてふるえて、るっ」 そう言いながら後孔を俺のそれに押しつけてきて、確かにぴくぴくと振動しているのが伝わってきた。だから腰に手を伸ばして体を支えるようにしてやりながら、言った。 「お前が欲しい…臨也」 「いいよ、すきによんで…だから、サイケのなかに、あついの、っ…うぅ、あ、はあああああっ!!」 最後まで言わせないつもりで下半身に力を入れると、あっさりと臨也が俺の中に埋まっていった。 あられもない声をあげながらゆっくりと侵入してきて、あまりの具合の良さに、それだけで果ててしまいそうなぐらいの威力があった。 「これ、が…ッ、臨也のなか、とか…すげえ」 「ん、あぁ…あ、お、おっきぃ…やだぁ、このおちんちん、おっき、すぎぃ…っ、は!」 ずぷずぷと貫きながら呟くように喜びを口にしていた。想像以上の感触に、一層全身が滾るように熱くなった。優しくしなければいけない、とわかっているのに、勝手に体が動き始めてしまった。 ダメだと自身に言い聞かせてはいるのに、一度覚えてしまったら抜け出せない程の威力を持つ快感に流されてしまった。 最後まで飲み込んではいなかったのに、律動を開始してしまったので上に乗っている臨也の体が大きく跳ねた。 「やあぁ、っん…ひ、ぅ、これ…だめ、だめだって…ぇ、んうぅ、っ、はぁ…あ」 「なにが、ダメなんだよ?なあ」 「は、うぅ、っ…よ、すぎてだめ、なんだって…っ、んぁ、イっちゃい、そう、だから…ん、く」 いきなり腰から下をガクガク震わせていると思ったら、どうやら自分で腰を振って快感を得ているようだった。 ぎこちなさすぎる俺の下からの突きに合わせて、巧みに振り動かしているのだ。その慣れた動きに、どのぐらいの人数を相手にしていたのか垣間見た気がして、カッとなった。 胸に湧いた衝動をそのままぶつけるように、臨也の手を掴みながら乱暴にこっちも腰を振った。パンパンという音が派手に聞こえてきて、それだけで限界が近づいてきてしまった。 抑える余裕もなかったので、いつもの調子で喧嘩をする時のように低くドスの効いた声でしゃべりかけると、向こうも絶頂が近いと言ってきた。 その姿が、一瞬自分の中の想像の臨也と重なった。 求めていた姿と、一致した気がしたのだ。 「くそっ、出すぞ!」 「んあぁっ、だして!なか、いっぱいに、して…おれも、なかだし、されながら、イっちゃ、う、んっ、は、ああああんうぅうう…!!」 険しく顔を歪めながら、最奥まで押しつけてそのまま爆発させるように熱い精液を放った。 頭の中でだけ欲しいと思っていた存在が手に入った喜びのままにすべてを吐き出した。 一人でする時よりは長く、かなりの量を出し尽くして太股から中身が垂れているのが俺にも伝わったところで、冷静になった。 気怠い余韻は残っていたが、それに浸れるほど現実は甘くなかった。もっと優しくして安心感を与えてやりたかったのに、と後悔しながら臨也を見あげて、そこで驚きに目を見開いた。 「ふあっ、は…あぁ、きもち、よかったぁ」 俺の思った通りの安堵しているような嬉しそうな表情を浮かべながら息を整えていたので、戸惑ってしまったのだ。 これでよかったのかとこっちもため息を吐き出そうとして、けれどもまだ繋がったままの内が、きゅぅと締めつけられる感触がした。 「なに…?」 「ふふっ、にがさない…よ?まだ、もっときもちよく、してよ…ね?」 確かに一度だけとは言わなかったが、まさかまだするなんて思いもしなかった。 さっきまでとは違い明らかに誘惑するような色気のある微笑みをたたえてねっとりと囁いてくる姿に、また欲情しかけている己を叱咤しながら、導かれるままに行為を続けることにした。 どうせなら、こいつが満足するまでつきあってやろうと、心に決めた。 text top |