*リクエスト企画 零子 様 静雄×臨也 ※今後の展開で18禁要素があります 以前リクエストで書いた凌辱教室の続きの設定 静臨(恋人)で門田が実は臨也を好きなのを知った静雄が情事を見せつける話 シズちゃんとつきあっていることは、一応は秘密にしておいて欲しいという俺の希望で建前としては誰も知らないはずだった。それでも、校内で喧嘩の後にほぼ毎日襲われていては噂も立ってしまう。 だからはなから隠し通すことなんて、無理だったのかもしれない。 その日はたまたま、教室内にシズちゃんの姿は無かった。原因はエッチな写真をメールに添付してきて、しかもそれが知らない男達に襲われた時のものだったから、切れてしまったのだ。 もうあれから何か月も過ぎていて、こっちはその時のことなんてシズちゃんと結ばれたことぐらいしか覚えてなかった。だから嫌なことを思い出されて腹が立ったのだ。 そうして他校の生徒をけしかけて、その応対で朝から学校になんて来ていなかったのだ。もう暫く顔なんて見たくない、と本気で思う。いくら恋人同士でも許されないことはあるのだ。 「はあー…」 「臨也大丈夫か?今日はため息ばかりついてるみたいだが」 「ちょっと嫌なことがあってね。ため息もつきたくなるよ」 昼休みだったので、今日は教室内でドタチンとご飯を食べていた。いつもだったらシズちゃんと新羅も呼んで屋上で食べていたのだが、新羅は急用で忙しいと断られた。 だから珍しく二人きりで机をくっつけて、俺は購買で買ってきたパンをかじっていた。でも基本パンよりは弁当の方が好きで、普段は自宅で朝に作ってから持ってきていたのだが。 それができないぐらい、昨晩の俺は荒れていたから。 「まあ落ち着け、俺だったらいくらでも聞いてやる。どうせ静雄のことなんだろ?」 「…そうだけどさ」 あっさりと指摘されて、それに関しては嘘をつかなかった。内容は到底話せないが、シズちゃんの事には間違いないから。 とにかく苛つくんだと口を開こうとしたが、その前に突然顔の前に箸を差し出された。 「え…?」 「さっきからこれが欲しかったんだろ?案外和食が好きだよな、臨也は」 箸の先には煮物のしいたけが挟まれていて、確かに何度もチラチラと見てはおいしそうだなと思っていた。以前もドタチンから弁当を貰ったことがあるので、味についてはお墨付きだ。 文句なしにおいしくて、だからこんな味気ないパンよりよっぽどいいと。シズちゃんじゃあるまいし、食い意地がはっているわけではないが。 「食べていいの?」 「好きにしろって、ほら」 「うん」 念の為食べていいかと確認すれば、どうしてかにこやかに笑い返されてしまってそれを了承だと受け取った。差し出された箸の先に唇を伸ばし、ぱくりと一口で口内に入れた。 よく染み込んだしいたけの汁がじゅうっと広がって、それだけで気分はあがっていった。やっぱり予想通りにドタチンの煮物はおいしかった。 「ありがとう、ねえその里芋も欲しいんだけど」 「ああわかったよ」 お礼を言った直後にぺろりと舌を出して弁当箱の中身を指差すと、呆れたような表情をしながら再びそれを摘まんでくれた。だから俺は躊躇わずに食いついて、程よい甘さの里芋を堪能した。 それだけでもう俺の機嫌はすっかり元に戻っていて、このままシズちゃんのことなんて忘れてやる、とすら思った。 その後もほうれん草のお浸しやら卵焼きやらを貰って、じゃあ俺のパンをあげると一個惣菜パンを渡してドタチンが箸を置いたところでようやく気がついた。 (シズちゃんとはあんまりこういうことしないよね。弁当の中身を箸で食べさせてあげるなんてさ。そんなことする前に全部奪われそうだし) たまにドタチンとはこうやって弁当の中身を交換し合うことがあった。それはシズちゃんとつきあうようになってから数は減ったけれど、別に何とも思わなかった。 俺達は前からこんな感じだったし、それをとやかく言われるなんておかしい。まあ自重しろ、と頭を下げられればやめても構わなかったけれど。 (最近調子に乗ってたみたいだし、今度一緒にした時にわざと見せつけてやろう) 別に浮気をしているわけではないし、これぐらいまだかわいいものだ。俺を脅してセックスをしてくるシズちゃんに、そろそろ他の事を覚えさせるいい機会だ。 まあさすがにみんなのいる前で食べさせあうなんてできないが、二人きりになれば構わない。まだお互いの家を行き来するほどではないので、もう少し関係を進展させてもいいと考えたのだが。 それが随分と甘いことだと気がついたのは、数時間後のことだったけれど。 「ところでお前と静雄のことで、最近変な噂が流れてるんだが…知ってるか?」 「ん?噂って…ああ、あれか。実は俺とシズちゃんが仲がいいっていうやつでしょ」 お互いに昼ご飯を食べ終わって、俺は自販機で買ってきた食後のコーヒーを飲んでいると唐突に切り出された。少しだけ話しにくそうにしていたので、途中からは変わって言ってあげた。 その噂は確かに俺も知っていた。別に俺が流したわけではなく、明らかに俺達の情事を盗み見したどっかのバカが流したものだったがあえて放っておいた。 だってそんなものを信じる人間なんて、学校内に居ないだろうと知っていたからだ。まさか派手な喧嘩をし合う二人が、恋人同士だなんて。 「ああいうのは一番にお前が消しそうだが、まだ流れてるってことはわざと放置しているのか?」 「あははっ、やだなあドタチン鋭すぎるね。なに、もしかして俺のこと気にしてくれてるのかな」 まさかドタチンにそんなことを言われるとは思わなくて、少しだけ驚いた。そういう勘が鋭くてお節介を焼く性格なのは知っていたので、なるほどそういうことかと思った。 俺だけじゃなくて、きっとシズちゃんのことも考えて、それで俺達の喧嘩が最近激しいとでも考えているのかもしれない。それは全く違ったけれど。 「こら変な目で見るんじゃねえ。その…俺は友人として臨也を心配してるんだけだ。まあ誰も信じ無さそうだからいいけど女子が騒いでたぞ」 「女の子ってそういう噂が好きだからね。別に害は無いし、あの鈍感シズちゃんの耳に噂が届くわけがないから心配しなくていいよ。でもそう言ってくれるのは嬉しいよ、ほんとに優しいよねえドタチンは」 「何も起こってねえならよかった。嫌なことがあったらいつでも俺に言えよ、お前の為ならいくらでも助けてやるから」 わざとらしくニヤニヤした表情をして話し掛ければ、急に恥ずかしくなったのか頬を紅く染めて目線を逸らしてきた。そうやって表情が変わるのがおもしろくて、俺はケラケラと笑った。 こんな風に自然と笑うのはなんだか久しぶりな気がして、どんどん気分が晴れていった。頭の端でいつかシズちゃんともこうやって笑いあえる時がくればいいのに、と思った。 誰に目も気にせずに、堂々と。 でもそれは、俺が情報屋という裏の道を選択しようとしているせいで叶わないことも知っていた。俺達が仲がいいなんて知られて、シズちゃんが狙われる可能性を考えたからだ。 まあそのうちバレるかもしれないが、暫くはドタチンにも新羅にも黙っているつもりだ。二人の友人を巻きこまない為にも。 だって相変わらずシズちゃんの前では快楽に弱くて、エッチなことを強要されてもなかなか断れないでいるなんて、そんなことを知られたくはなかったから。 「なんだどうした、今度は顔赤くなってるぞ」 「え…っ!?あ、あぁなんでもないよ。ちょっとドタチンがあんまりにもかっこいいこと言うから、照れただけ」 「全然心がこもってないが、その言葉ありがたく受け取っておく」 最終的には今度はドタチンが深くため息をついていた。まさかシズちゃんのことを考えて思い出して照れていたなんて言えず、乾いた笑いをこぼした。 向こうもそれはわかっているようで、それ以上は尋ねて来なかった。基本こっちから助けを求めなければ、無理に突っ込んでくることがないからちょうどいいのだ。 その時、携帯のバイブがブルブルと震えてその短さからメールだと判断してから中身を開いた。ドタチンから見えない位置で確認したが、その内容に胸がドキンと高鳴った。 『今日の放課後教室に残ってろ。絶対にだ』 短い文面だったが、それは明らかにシズちゃんのものだった。そうして、散々昨日あんなことをするなと言ってやったのに、懲りずに俺を苛立たせる写真が添付されていた。 男達に弄られて、快楽に蕩けきっていて呆然と写真に撮られた時の淫らな俺の姿が。一瞬で怒りがぶり返してきた。 「クソッ、シズちゃん絶対後で殺してやるッ…!!」 その不穏な声を聞こえない振りでいてくれたドタチンには、ある意味感謝していた。まあいつものことと言えばそれまでだったのだが。 でも自分のことばかりで実際には俺の事なんて聞いて無くて、同じように携帯を開いてメールを確認していたなんて、目に入ってはいなかった。 「珍しい奴からメールだな…」 もしその時に聞き返していれば、あの事件が起こらなかったかもしれないが俺もそこまでは気が回らなかった。珍しくシズちゃんのことで頭がいっぱいだったからだ。 よく考えれば、最初に男達が持っていた携帯から赤外線受信で写真を送っていたり、随分と姑息なことをしていたのは知ってたはずだ。 しかも俺の事が、俺が好きになる前よりも好きで、それこそ俺以上に俺自身のことを見ていた。だからドタチンと俺が結構仲がいいのも知っていただろうし、噂だって耳に入っていた。 俺みたいにしゃべらずに無言でいることで、鈍感だとか何も考えていないだろうと勝手に思っていたがそうではなかった。 男達に襲われていた時も、物陰から眺めているぐらい冷静で、その後も流されたのはこっちだ。もう少し早くそのことに気がついていたら、よかったのにと後悔しても遅かった。 「次はどんな方法で嫌がらせをしようか」 暢気に放課後の事を考えを巡らせていた俺は、教室の入り口の視線には最後まで気づけなかった。 text top |