四月馬鹿4 | ナノ

「……ッ、おい臨也」
「ん、ぅ?」

いきなり声をかけられて、ついいつものように返したつもりだったのだが情欲がたっぷりと残った声色だった。
こんなのはやっぱり嫌だなあと思っていたら、いきなり衝撃的なことが起こった。
表情を変えずに俺の方に一歩ずつ近づいて来て、何十本もの触手に絡まれて空中に浮いていた体を掴まれたかと思うと物凄い強い力で引っ張られた。
ブチブチッと蔦が破れていく音だけが盛大に響いて、戒めがあらかた解けたかと思ったら重力に従って落ちかけた全身を抱きとめられた。

「……えっ?」

まだ体中には絡まった触手達の残骸が残ってはいたが、苦しさからは解放された。そうして慌てて顔をあげると、随分と近い距離にシズちゃんの顔があって間抜けな声が出てしまった。
ただでさえ媚薬漬けの上に快楽でどろどろになっていたので、思考がすぐに追いつかなかった。馬鹿みたいに口を開けていると、目の前の男の表情がいきなり変わった。

「お、おい手前…胸当たってんぞ」
「あ」

頬を赤く染めながら目線を逸らして、本人にしてはかなり優しい手つきで肩を掴んで少しだけ体を離された。しかしまだ足元はふらふらしていたので、そのまま倒れないように支えられる。
胸ぐらいでそんなに動揺するなんて、どれだけ女性経験が無いの?といつもなら突っこんでいるところなのだが今はそうしなかった。
俺だって恥ずかしかったからだ。
いや、さっきからの惨状を見られてなにを今更なんて思ってはいたが、見られている時よりこうして直接さわられている時の方がドキドキしていた。

「なんでそっちまで照れてんだよ」
「う、るさいなっ」

しかもそれをシズちゃんの方から逆に指摘されて、腹立たしかった。すぐに反論したかったが、やっぱりいつものような言葉が口から出てこない。
とにかくこんなまだ淫悦に溺れきった状態で近くにいるのはマズイだろうと判断して、自ら距離を取ろうと支えられている部分の腕を振りほどこうとして、できなかった。

「ちょ、っと離してよ。もういいからさあ……」
「嘘つけ体震えてるじゃねえか、しかもこんなに熱いし」

俺の些細な変化を敏感に敏感に見つけたことに、動揺を隠せなかった。ただの鈍感だと思っていたのに、不意を突かれた気分だった。
しかしもっと驚くべきことが起こってしまった。

「ッ、う……って、え?ちょ、っとな、なに?」

唐突に視界が揺れたかと思うと、冷たい床の上に寝転がっている状態になっていた。状況を把握しようと見上げれば、これまで一度も見たことがないシズちゃんとしっかり目があった。
瞳をギラつかせて鋭く睨み付けながら、しっかりと俺の体を床に押し付けてお腹の上に乗りかかる勢いで迫ってきていた。
さっきまでの照れていた姿は幻だったのかと思うぐらいに、豹変していた。嫌な予感がひしひしと伝わってきていたが、どうしてか背筋がぞくりと震えた。

「なあ、それ媚薬かなんか使われてんだろ?じゃねえと俺の前であんな酷い姿晒すわけねえよなあ?」
「そうだけど…もしかしてシズちゃん俺のこと犯したくなったとか言うんじゃないよね?」
「こっちが言わなくても十分わかってんじゃねえか、臨也」

口元だけ凶悪に歪ませて笑いかけてきたので、こっちも負けじとそれに返した。しかしそれが逆効果で煽ってしまったのだと気が付いた時には、すべて遅かった。
先の展開が読めてしまう自分の察しのよさに、うんざりしそうだった。

「っ、あ……!?あ、やっ、うそ…い、いきなりっ…や、あああああッ!?」

完全に俺の体の上に乗っかると、すぐ傍にあった胸を鷲掴みにしてきたのだ。まるでずっとそうしたかったと態度で言っているぐらい、一心にふれてきた。
思わず驚きすぎて出されて残っていた触手の粘液が、噴き出してきた。もしかしたらそれに愛液も混じっていたのかもしれない。
だってあまりにも強い衝撃で揺らされたので、すぐにそれが快楽に直結して少しだけイッってしまったのだ。

「すげえでけえ胸だよな。しかも乳まで出るってどんだけすげえんだよ…ほんとに甘いのか?」
「ふ、えっ…?や、だめ、つぶれ、ちゃ…あ、やはああぁぁああ!」

左側のおっぱいを全体的に強く掴まれて、絞り出すように揉まれたと思った次の瞬間には先端から大量のミルクが迸っていた。
当然それは目の前のシズちゃんの服をぐっしょりと汚すぐらいに飛び散って、暫くは止まらなかった。こっちはただもうあえぎながらイき続けることしかできなくて、すぐに思考もどろどろになった。

「なんだ、そんなに胸がいいのか?しっかしおもしれえな、すごい勢いで出やがる…」
「あ、あ、ああっ…ひ、いぃっ、んうぅ…あつ、あちゅいぃ…やぁ、とまんなひぃっう…」

反対側の胸も掴まれて両方の乳首から甘いミルクが噴出していた。軽く搾られる度に体がビクビクと跳ねて、連続して絶頂を味わっていた。
すぐに理性は飛んでただ与えられる刺激に体を委ねて、唇からひっきりなしに喘ぎをこぼし続けた。
向こうは完全に遊んでいるようで、交互に力を加えられながら左右から飛び出す量を調節して楽しんでいるようだった。
しかしそれもすぐに飽きたのか、一度だけ俺に向かって冷酷な笑みを向けたかと思うと、大きく口をあけてそのまま胸にむさぼりついてきた。

「う、っ、ひあ、あああぁっ…は、ぁ、や、らめっこれ、す、すっちゃあやらあ、ん、うぅ…!!」

赤ん坊よりも下品にちゅうちゅうと音をわざとらしく立てながら、乳首を吸い続けた。当たり前のように乳が爆発するように流れ出て、すぐに口にはおさまらなくなりどばっと口の端からこぼした。
それでも懸命に吸うことはやめず、ごくごくと喉を鳴らして何度も飲み続けた。
もう俺の頭は、シズちゃんが俺のミルクを飲んでいるというだけで破裂しそうだった。もう完全におかしくなっていた。

「あ、はあっ…の、んでるっう、あ、あぁ…シズ、ちゃのんで…るうぅっ、ひ、うぅん…」

触手に責められた時と比べ物にならないぐらい、激しく体がビクビクと跳ねて歓喜に打ち震えた。山ほど注ぎ込まて膨らんでいた腹は、すっかり元通りになってほぼすべてが床にこぼれていた。
当然その中には何度も限界を迎えて噴出した、自身の汁も含まれていた。男の性器ほど派手ではないが、こうやって何度も何度もたて続けにイけるのは気持ちがよかった。
満ちた気分で淫悦に浸りながら、いつの間にか笑っていた。今のこの異常な状況が楽しくて、楽しくてしょうがなかった。

「は…ッ、ほんとに甘えじゃねえか。牛乳よりは濃いのか?昔っから俺はミルクが好きでなあ、まさかこの年でこんなに味わえるなんてよお」
「んあぁっ…ね、はんたいも…ッのんでえ…おれのミルクっ、いっぱい…のんれえ?」

最後まで言い終わらないうちに、当然のように吸いついてきた。予想通りの反応に嬉しくてあえぎ声をあげながら、、下半身をそわそわと揺らしながらまた果てた。
死ぬほど殺したいとか、恥ずかしいとか、好きだとか、どの感情もすっかり抜け落ちていてただ快感だけが支配していた。
だからこそ素直に気持ちいいのを口で言えたし、先のことを何も考えずに行為に没頭することができた。

「は、あぁ、っ…すご、っ…もっとお、してえ?おれ、をぐちゃぐちゃ、に…あ、んぅ…ひ、もちよく、ぅ…ね、え?」
「ったくどんだけ淫乱なんだ手前は。まあ、遠慮しなくていいってことなら望み通りにしてやるよ。嬉しいだろ?」
「ふ、うぅっ…う、ん…おれえ、うれひぃ…っ、すき……」

本心をぽろっと吐いてしまったことなんて、きっと気がつかないだろう安易に思っていた。

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