「や、めろ…っ、この…!」 体をうつぶせの格好にされて何人かで押さえつけられながら、必死に体の熱を振り払うように抵抗した。もう余裕の笑みを浮かべているほど俺もバカではなかった。 後ろに立っていた奴を二人ほど手枷ごと殴りつけたところで何かが変わるなんて思っていなかったが、なにもしないよりはマシだった。内心スッキリしかけたところで、頭を強く床に打ちつけられた。 血こそ出なかったが、軽い脳震盪状態になりぐらぐらと視界が歪んだ。たったそれだけだったのに、すぐに体がいうことを利かなくなってしまう。 「そんなに酷くされたいんですかね?あまり商品に傷をつけたくないんで、大人しくしれくれませんか」 「ははっ、誰が商品だって?そんなもの…っ」 こうして反論していることさえもう無駄なんだと、よく回る頭でわかっていたが止められなかった。もうこうするしか術が残されていなかったからだ。自分から諦めるなんてご免だった。 それなのに、周りの男達のおぞましい手が全身を這い回り次々と服を破り奪い取っていく。結局前と同じようにコートのみで裸にされてしまった。 そしてその頃にはすっかり息があがっていて、自然とカタカタと手足が麻痺したように震えだして明確な反応を示してきていた。 「大事な場所が切れては困りますから、これは一応の親切心ですよ?」 「っ、冷た…」 いつのまにか体を固定された状態で、突然ぬるぬるとした粘液を後ろの入り口周辺にぶっかけられて、あまりの冷たさに肩を竦めた。 すぐさま二、三人の手が伸びてきて丹念にローションをそこに塗りはじめてきたので、ぐっと唇を噛んで耐えた。生あたたかい手のひらで撫でられて、吐きそうなぐらい気分が悪くなった。 最悪、最低の気分だというのに。 「い……ッ!?あ、ぁ…」 敏感に快楽を感じ取って蕩けはじめるそこに腹が立ってしょうがなかったが、合図もなく指がぬるりと侵入してきて驚愕した。しかももっと驚いたことに奥まで突っかかることなく入っていったのだ。 昨日散々に陵辱されたことはしっかり覚えているが、感覚としてはほとんど残っていなかったのでただショックを受けるしかなかった。 しかも次々と他の男の指が増やされて、結局は三本の指を飲み込むはめになってしまった。とても信じがたい光景で、自分の位置からありありと見せ付けられなくてよかったとさえ思った。 「ぐ…っ、う…」 「やっぱり昨日一晩で随分拡張されたんですね。もう次はいきなり突っこんでも良さそうですね、ここ」 後ろに居ると思っていた男が俺の目の前にしゃがみ、わざわざ言ってきた。こういうところが実に厭らしくて喉の奥から声を絞りだして笑った。いつもだったら俺はそっち側の人間だ。 こんな無様に押さえつけられているなんて、似合わない。あってはならないことなのだ。 それもこれも、全部シズちゃんのせいなんだと自覚すると悔しくてしょうがなかった。本当は自分のせいでもあったのだが、今はあいつのせいにしたかった。 怒りを別の方向に向けることで、逃れようとした。 (あぁでも忘れていた、昨日はその方法で記憶まで無くしたんだ。それはマズイなぁ) こんなこと思い出したくもなかったし、忘れたいと願ったことには納得したが二度目はさすがに嫌だった。 確かに振られてショックを受けてなにもかも無かった事になったのはよかったが、新羅に見破られるほど変わってしまってそれが嫌だった。 自分でもシズちゃんへの恋心を失った俺には、価値が無いように思えたのだ。 気がついた時にはどうしたらいいかわからず散々に困り果てたが、無ければないでそれはもう自分ではないようだったのだ。 それが歪んでいても、振られたとしても、ただの自己満足だとしても、もう一生手放したくはなかった。 例え結ばれなかった上に男達の慰め者になろうとも、それがシズちゃんにバレて笑われたとしても、密かに想い続けていたかった。それぐらいはいいだろうと。 「かわいらしく喘いで下さいね、情報屋さん?」 男の声にはっとしたが、その時には既に遅かった。 「っ、ん、は、はぁ…あ、ううぅんんぅぅッ…!!」 指が一斉に引きぬかれて間を置かずにすぐに熱く滾った塊が、一気に抉りながら割り入ってきたので自然と悲鳴をあげていた。すぐに律動がリズムよく律動が開始される。 最初は怖さと緊張でドキドキしていたのに、一瞬でものすごい快楽へと変換されて体中に襲いかかってきた。とても抗えられるようなものではなくて、戸惑うばかりだった。 (な、んで…っ、体熱い、あつい、あついあついあつい……き、もちいぃ……) 口にこそ出さずにいたが、このまま責められればそのうちうっかり言ってしまいそうになるぐらいそのことで頭が占められていた。 「あぁそういえばさっき言い忘れたんですが、さっきあなたの体に塗りつけたのって昨日集めたここに居る男達の精液なんですよ。ほら」 「えっ、っう…あ……っ」 直後に顔にチューブの先から飛び出した白い液体が顔にどろりとかかり、口の中にも飛んできたものを舐めると確かに覚えのある味がしてぞくりとした。 すぐに昨日の溺れるようにぶっかけられた時のことを思い出して、激しく動揺した。 「こいつほんとに精液好きみたいっすよ、今すげえ締めつけましたから」 余計なことを言わなくていいのに、突っこんでいる男が告げ口をしてきたのでギリッと歯軋りをした。 「やっぱそうなんだ?じゃあ待ってる間にまたみんなでぶっかけてやるしかねえなあ?」 「や、めろって…!っう、く、そぉ…んう、ぁ……」 フラッシュバックするように頭からドロドロにかけられた時のことを思い出して、下半身が痛いぐらいに張りつめていくのがわかった。そんなつもりなど全く無い。 それなのに知らないうちに先に体がリアクションを起こしてしまうのだ。心と体が分離してるかのような状態で気持ちが悪い。 「でもそうだな、昨日教えてやったフェラ覚えてんだろ?うまくイかせたらお望みどおりぶっかけてやるよ」 「だ、れがそんな…っ、あ、あぁ、は…ッ!」 顔を背けようとしたタイミングで後ろから突かれて、堪えきれない声が口から飛び出てしまった。そして目の前の男のペニスが眼前に突き出されて、ペチペチと頬を軽く叩かれた。 雄特有の臭いが漂ってきて顔を顰めたが、それからすっかり目が離せなくなっていたのだ。 text top |