「シズ、ちゃ……ん?」 はっとそこで我に返りかけたが、遮るように結合部のバイブが体の中で暴れまわってそこが収縮しながら快楽を訴えてきた。男がまた力を入れて押し込んできたのだ。 唇を噛みしめながら、あっという間にまた快感に翻弄されてしまった。 「ひ、やあぁっ…ん、あぁ、うぅ、んうぅ…!」 心の中に浮かんだ人物が一瞬で弾けて消えてしまった。それを悲しく思いながら、もう自分ではどうすることもできないぐらい気持ちよかった。 それこそ全身が性感帯になったかのような勢いで、とにかくもっと、もっと感じさせて欲しいと純粋に思った。 「折原さん、わかりますか?あなたの大好きな平和島静雄さん、ですよ」 「んあぁ、ふっ、んうぅ、あぁ…っ……だ、れえ?」 問いかけられていることの意味さえわからず、知らないと言いながら首を左右に振った。そのことに対してもうなにも感じなかった。 忘れられた、瞬間だった。 「あ、はははっ!!すごい効き目だなあ、まぁまた何度か思い出したりするかもしれないけど、その度に忘れさせてやるから感謝しろよな?」 「はぁ、あつ、あつい…ま、たイきそ…っ…!」 「ここまで壊したら、そろそろ俺たちが突っこんでもいい番だよな?折原さん、じゃあこのカメラで突っこまれるところを全部撮ってあげますからね」 ペチペチと頬を叩かれてなにかを言われたが、もうなにもわからなかった。ただにっこりと微笑み返したら、向こうも同じように声を出して笑った。 それを発端として周りからも笑い声が向けられて、それが中傷のものだとは気がつかず、気恥ずかしい気分でもぞもぞと腰を捩らせた。 「その反応かわいいですねえ。あの生意気な情報屋がこんなになるなんて、想像以上ですよ。やっぱりマゾの素質があったんですよ、ほらもう一回イってもいいですよ」 「え?あ、ああっ、それっ、らめ…っ、は、ああぁんうううぅぅッ!!」 男がバイブを掴んでいきなり上下に出し入れをしてきたので、昂ぶっていた欲望を堪えることなく吐き出した。 大声をあげてイきながら、唇の端から唾液と精液が混じった液がこぼれ落ちていった。どこもかしこも熱くて、イったばかりなのになかなか絶頂から下りてこれなかった。 このまま延々と天国のような行為が続いていくのだと思うと、心が躍っていた。これに似たような気持ちを味わったことがある気がしたが、それがなんなのかわからない。 わからなくてもいいと、焦点の合わない瞳で虚空を眺めながら笑った。 「そろそろ皆でおいしく頂く頃合ですかね。わかりますか?もっと気持ちいいことしてあげますよ」 「はぁ、はっ…いぃ、こと?きもち、いい……の?」 「ほらこれを突っこんでやるよ、何本も何本も飽きるまで嫌がろうが構わず、ね。臨也はこれ好きだろ?」 目を細めながら尋ね返したら目の前に大きなペニスが突き出され、うっとりとそれを眺めながら言った。 「おれは、これが…好きなの?好き…だ、いすき…」 同じような言葉をつい最近口にした覚えがあったが、それがなんなのか、誰に対して言ったものなのかまでは至れなかった。 急に足の間に男の体が割り込んできて、そっちに意識がもっていかれたからだ。 「ん、あっ」 杭のように打ちこまれていたバイブが引き抜かれて、名残惜しむような甘いあえぎが口からこぼれていった。 だが間を置かずに後孔にさっきまでとは異質の、熱く滾るものが押しつけられて全身がぴくりと震えて、期待に心臓が跳ねあがった。 「はや、く…っ」 「自分からおねだりしてくるなんて、そんなに欲しいなら自分で入れてみろよできるだろ?」 「うぁ、あっ、んうぅ、っ!」 優しくそう言われたので必死に腰を捩って浮かせて、力を入れながら飲みこもうとした。しかし変に体が震えて、なかなか上手くいかなくて焦ってしまった。 それが実は拒んでいる証なのだということには、気がつくはずがない。とにかく早く、はやくと涙を目の端に溜めながら願った。 「しょうがないな、こうだろッ!」 「え、あっ、はああぁっ、きた…ッ、んうぅぅあああぁっ…!」 心からの歓喜の声を叫びながら、ギチギチに硬いものが徐々に入りこんでいくのをしっかりと見つめていた。無機質なさっきまでのモノとは違い、あたたかさに包まれて安堵した。 相手の手が腰のあたりを掴んで完全に密着すると、ぞくぞくとした寒気と心地いい疼きのような痺れが生まれてきて、やっぱりこれが欲しかったのだと実感した。 「はひ、あ、は…お、っきいっ…」 「さっきまで抵抗してた奴と同じには思えないな?こんなに悦んで中までヒクヒクさせて絡みついてきやがる…元からチンポ好きだったんじゃねえのか、こりゃ」 「うぁ、あ…は」 このままずっぽりと咥えこんでいるだけは嫌で、そろそろと体を揺すらせてみたら、体の中心の自分のモノがぎゅうっと強く締めつけられる感触がした。 もう今日何度も何度も、覚えこまされるようにされた行為で、瞳から涙をこぼしながら流されるままに受け止めた。 「あつ、い、ひいぃんんっ、イく、イくううぅんうぅッ……!」 お決まりの言葉を吐いて一緒に真っ白になるぐらいの快感を解放しようとして、それが寸前でなぜか遮られた。 「く、ひぃっ…あ、あぁあっ、な、んでッ!!」 「おい臨也、誰がイっていいって言った?」 抗議の声をあげれば眼前の相手が鋭く睨みつけていて、そのあまりの怖さにビクンッと跳ねて手枷が虚しくカシャンッと音を立てて床と擦れあった。 text top |