ボトルの先端からこぼれた冷たい粘液が肌の上に垂れた感触で、少しだけ意識を取り戻した。 「…っ」 「情報屋さん起きてっか?さっき打ったのがそんなに効いてるのか?でもこっちも突っこみたくて何人も待ってる状態だからさ、早いとこ後ろの処女喪失しましょうか?」 もう睨みつける気力はすっかりなくなっていた。怯えや恐怖を悟られないように無表情に振舞うぐらいしかできず、しかし薬の影響で麻痺する体だけはどうしようもなかった。 本当はもう全身が熱くて熱くてしかたがなくて、男達に押さえられている部分ですら熱を持っている。 下半身は半勃起の状態だったが、必死に堪えてそれだった。胸に渦巻く快楽の波がもうすぐそこまで押し寄せてきていた。 当然男との性経験なんてない。しかし部屋中の男が待っているなんていわれて、一瞬自分が犯されているところを想像してしまい気持ちが悪くなった。 滑りをよくするためのローションは、男達に抱えあげられて両足を無様に開かされている格好の俺の中心にだらだらと塗られた。軽く擦りつけるようにされれば、自然と足がぴくりと震えた。 注射針で打った箇所はわざと外されているが、そこをふれられれば一瞬でおかしくなる自覚はあった。 「せっかくだから折原さんの処女はこいつにあげましょうか?人ですらない道具だなんて、お似合いじゃないですか?」 男の手に握られていたのは、淫具だった。真っ黒でそれなりな太さの卑猥なバイブで、おもわず喉をゴクリと鳴らした。 気味が悪い男達よりマシと思うしかなかった。それでも結局強姦されることには変わりないのだろうが。 ぶっといバイブにもローションを塗りたくっていって程よいところで、いきなり俺の後ろにそれを宛がった。そんなのが慣らさずに普通に入るわけが無いのだが向こうは入れる気だった。 「大丈夫ですよ前ぐらいさわっててあげますから、力抜いてくださいね。あ、それともここがいいですか?」 わざとらしい敬語が余計に癇に障るなと思っていると、突然予想もしないところを指でグリグリと押されて叫び声をあげてしまった。 「ぐ、あぁッ!う……!」 薬を注入された部分をさわられ、一瞬頭の中が真っ白になった。それまでなんとか耐えられていたものが、ガラガラと音を立てて崩れていった。 急激に息があがり、もう誰の目から見ても快楽を感じているのだと認識できるほどだった。 「やっぱりここがいいんですね。じゃあバイブ入れながらさわっててあげますよ。気がついたらずっぽりと咥えこんでるはずですから」 調子に乗った男が嬉しそうに、囁くように残酷な言葉を告げてきた。 もう自分自身で直視しがたくて、不本意だったが目を瞑った。決して負けたわけでも屈したわけでもない、と心の中でいいわけを唱えながら。 そして遂に傷をいじくられながら、硬くて無機質な物質が体の中に侵入してきた。 「う…っ、う……ぐッ」 腰から下がビクビクと震え体が異物を拒否していたのだが、傷口からどんどん広がっていく得体の知れない淫悦がじわじわと内から侵食していった。 ローションの滑りもあって男が力をこめると確実にゆっくりだが、中にバイブが埋めこまれていった。 「ぐぁ…あ、うぅ…ッ!」 ガチガチに硬直した体を揺らして苦痛の声をあげるが、動かないように固定されているので逃れる術もない。肩で息をしていたのだが、そこでようやく本当の催淫効果があらわれてきたようだった。 「う……うぅ、やっ…あ、ああぁっ!?」 ドクンと体が脈打ったかと思うと心臓の音がやけに早まり、自分では堪えられないほどの強い衝撃が襲ってきて悶えるような声を出した。 なりふり構わず頭を振り回しながら、腰をくねらすと一気に半分以上バイブが入ってきてパニックに陥った。 「や、めろっ…ッ、やだ…無理…っ!」 弱音なんて吐くつもりなどなかったのに、口をついて出てきてしまった。一度そうなってしまうと、もう止められなかった。 「随分かわいくなってきたじゃないですか?ほら、もうあと少しですよ」 「離せっ、やめろ、抜けって…っう、言ってるだろ!クソッ…!」 それは自分自身の体に向けても叫んでいるつもりだったが、全く思い通りにはいかなかった。むしろ逆にどんどん内に取り込んでいって、ぎちぎちに中が拡張されていた。 なんとか押し戻せないかと力を入れかけたところで、傷口を爪先で引っ掛かれて最後の一線を越えてしまった。 「あ、あああぁぁっ!あ…あ、あははっ、嘘だ、ろ?」 「ほら、全部入ったじゃないですか。処女喪失おめでとうございます。じゃあ早速バイブによがってイッちゃってくださいね」 呆然と埋め込まれてしまった結合部を眺めてながら、笑い声をあげた。もう笑わなければやっていけなかった。 そして嫌な感傷に浸っている間もなく、男がバイブの根元に手を伸ばしてあろうことかスイッチを入れ振動をいきなりMAXにしたのだ。 「うぁ、ぐっ、は……ん、うぅぅーーッ!は、はぁ、は……」 入れられているだけでも充分なのに、激しい揺れが生まれてきてなす術もなく腰が跳ねて、気がついたら精液を吐き出していた。 催淫効果があらわれた時点で完全に勃ちあがっていたが、まさかこんなにもあっさり達してしまうと考えられなくて唖然と口を開けて薄目で床が汚れていくのを見ていた。 乱れた息を必死に整えてはいたが、淫具の責めがそこで終わりなわけではない。まだ暴れまわっている動きに翻弄されて、今出したばかりのモノが大きさを取り戻していた。 「そ、んな…っ、うぅ…」 「折原さんいいですよ。気が済むまでイッて下さい。俺達は出来あがった頃においしくいただきますから」 一度欲望を吐き出したことによって頭がクリアになったようで、今の絶望的な惨状に歯軋りをした。このままでは完全に流されて溺れてしまうことは目に見えていた。 「あぁでも、ただあなたのエロい顔を見て待つだけなんて耐えられませんから、先に出させて貰いましょうか?」 「な…なにを…」 「おいお前ら、こいつにぶっかけてドロドロの精液漬けにしてやろうぜ」 なにを言われているのか一瞬わからなかったが、すぐにはっとして周りを見回した。いつの間にか男達が群がっていて、完全に今までの痴態を見られていたのだと実感した。 意識が朦朧としかけていた時は恥ずかしさなんてどうでもよかったが、目を背けたい状態だった。しかし逸らした先にも男の姿はあるし、もうどうしようもない事態だった。 「そんなの、やめろっ!俺は…」 「まだ抵抗する力が残ってるんですか?でも確かにその方がビデオにした時にも絵になりますからね」 いつの間に撮られているのかと慌てて見回すと、部屋の端に固定カメラが二台とリーダー格の男の後ろに手持ちでカメラを抱えている奴がいた。 こういうところは用意周到だなと毒づきながら、なるべく映らないような位置に体を捩らせようとした時に耳元で音がした。 「え?」 それがズボンのベルトを外していく音なんだと至った時には、俺の体の周りに複数のペニスが突き出されて何事かと息を飲んだ。 すぐさまそいつらは自分の性器を擦り出し、雄特有の嫌な臭いが一気に部屋に充満した。しかも真後ろで支えている奴まで取り出していて、かなり近い位置にモノがあって驚いてしまった。 「は…っ、う…」 当然後ろに入れられたバイブは震え続けていて、むわっとした香りに誘われておさまりかけていた欲望がムクムクと再燃してきていた。 こんな最悪な光景なんて映像の中でしか見たことが無くて、現実逃避をしたかったが重い手枷と体を貫かれた淫具がそれを許さず、心の中だけで泣いてしまいたかった。 (でもシズちゃん以外に泣き顔を晒すなんて、俺はご免だね。せめてそれぐらいは、誓ったっていいだろ?) 再び淫悦でわけがわからなくなってしまう前に、自分で自分に言い聞かせた。 本当に守れるかどうかは、知らなかったけれど。 text top |