「ほんとうにすごい奴だな。あんなに嫌がってた癖に出されただけですぐ従順になりやがってなあ、相手は人間でもねえのによ」 「ん、あぁ…あ、っ、らって……すご、おっきぃ…っ」 すっかり力の抜けた体を支えられながら、腰を高く掲げられる格好で犯され続けていた。仕込まれた媚薬も全身に回ってきたのか、やけに感度があがってしょうがなかった。 犬が本能的に律動をする度に、結合部から水音を立て白濁液が噴出していった。ほんのりと香るバターの臭いが食欲をそそるが、これだけ塗りたくられていたらむせかえりそうでもあった。 「これに懲りたら二度と失敗するな、と言いたかったんだが、こりゃあ悦ばせてるだけだな?」 「は、んっ、ひ…ぁ、あ…ごめんなひゃいっ……しき、さ…んっ、あふぅ…」 淫らな腰は未だに反応を続けているが、本心ではもう終わって欲しいと思っていた。こんな背徳的な行為を続けても、こっちがダメージを受けるだけなのだ。 俺は人間が好きで、愛しているというのにどうしてそれ以下の獣なんかにいいようにされているのか、理解し難い。こんな体がはじめて恨めしいと思った。 「なんだやけに素直じゃねえか。もしかして犬にでも躾けられてるのか?」 「ふ、うぅ……っ、んぅ、まさか……ッ、そんなこと…んあ、あ…」 必死に否定しながらも、心の中では図星を突かれて胸が酷く高鳴っていた。正確には犬ではないのだが、完全に人間というわけでもない。化け物と言えばいいのだろうか。 その姿を思い出した瞬間、体の奥底がきゅうっと締まり切なさが胸の内に広がっていった。 するとその動きに呼応するかのように犬の息遣いも荒くなっていって、埋まっている塊がもう何度目かわからないほど形を変えて中身をぶちまけてきた。 「あっ、あぁ……う、んううぅぅっ、はああぁ、あ、あ……!!」 ほとんど前ぶれもなく吐き出されたというのに、同じようにこっちも白濁液をこぼしていた。ただしもう雫のような透明なものが数滴こぼれるだけで、中身は残っていなかった。 それなのに全く淫悦の波はおさまる気配はなく、まだまだして欲しいと思っていた。もう全身が疼いて疼いてしょうがないのだ。 隙間からドボドボと垂れていく液体を眺めながら、獣が体から出て行こうとするのを必死で引きとめていた。 「性懲りもねえな。もうどんだけやってると思ってんだ?次で終わりだ」 そんな俺の行動まで読んでいたのか、四木さんが最終宣告をつきつけてきた。いきなり目の前が真っ暗になったような気がして、おもわず口走っていた。 「え?あっ、やだ……まだだして…ッ、せいえき、ほしい…からだ、あついからぁ…!」 瞳から涙を零す勢いで一気に捲くし立てた。こんなところで終わられるのは拷問だと思った。だから言ったのに、不敵に口の端を歪めながら喉から低い声を出して笑われた。 なにがおかしいのかこっちはわからなくて、呆然とするしかなかった。 「薬が効きすぎたのか?残りは自分の家に帰ってしてもらえ。そいつのが一番いいんだろ?」 「っあ、あぁ…で、でも…おれかえるまで、もたない…っ…」 「あぁ心配するな、犬の精液がこぼれないように栓を貸してやるからよ。途中で抜いて遊ぶんじゃねえぞ」 鈍った頭ではどういう意味かすぐにはわからなかったが、そんなことはお構い無しに俺の後ろに跨っている犬が最後の動きを開始した。 乱暴にごりごりと突かれながら、ぼんやりと虚空を眺めて気持ちよさをしっかり味わっていた。さっきまで早く終わって欲しいと考えていた癖に、いざそうなると戸惑うとは予想もしなかった。 「あ、ははっ…いぃ、っすご、い…んあ、きもちいぃよお…っ、あ、あぁ…」 自嘲気味に笑いながら、速度が増していくのをしっかりと受け止めていた。存在感のある肉棒で抉られたところが、痺れるように心地よくてたまらなかった。 もうすっかり頭の中では、犬だろうが人間だろうが気持ちよければいいという方程式ができあがっていた。 そうして程なくして、獣の呻り声が一層低くなり激しい咆哮と同時にものすごい量の白濁液が最奥に出し尽くされた。 「や、あぁ、もぅいっ、イくぅうううっ…あ、あはんんぅぅううううっ!!!!」 今度こそ流し込まれるのと同時に自身も果てて、満足感に満たされた。ほとんど空イき状態でびくびくと腰を揺らすだけだったが、受け入れるあたたかい感触が最高によかった。 このまま離れたくないと思っていたが、無常にも中から出て行ってしまって、堪えきれなかった白濁液がありえない勢いで出始めた。 「あっ、あ……ッ!え、あっ、ああああぁううんんぅぅ…!?」 しかし間髪入れずに何かが後孔に入れられて、放出はぴったりとおさまった。無機質な異物感に眉を顰めながら、やっとそれがバイブなんだと気がついた。 さっき言っていたのはこういう意味なんだとわかった。そうして男達の支えがなくなったので、そのまま崩れるように床の上に倒れた。 「んっ…あ、あ…」 腰から下をビクビクと震わせながら、虚ろな瞳で四木さんの楽しそうな表情を眺め続けていた。 自宅に辿り着くまでこの疼きを解放せずにいられるかどうかは、全く自身はなかった。 「ただいま…」 さすがに途中まで車で送って貰えたのでまだよかったが、内で暴れ続けるバイブに耐え続けるのはかなりキツかった。 もう心も体も疲れきっていて、早くシャワーを浴びながら解放したいと思っていた。だから部屋の中に居るもう一人の住人に気がつかれないことを願いながら、そっと風呂場に直行しようとした。 しかし。 「おい…臨也手前それ、どうした?」 「……ッ、しず、ちゃ……?」 いきなり声を掛けられてそっちの方向を振り向くと、ラフなシャツとズボンを着た人の姿なのに首には赤い首輪をつけた、文字通り耳と尻尾を生やした犬が立ち尽くしていた。 慌てて玄関のドアノブにしがみつきながら、真っ先に体の変化を尋ねられたことに、ドキリと心臓が跳ねた。 しかしよく考えてみればべっとりと媚薬入りバターを塗りたくられたのだから、感ずかれて当然だった。獣は人間以上に鼻が利くのだから、どう繕ってもバレるに決まっている。 半分が獣で半分が人間という状態ではあったが、各特性を見事取り入れた人と獣を越えた化け物なのだ。 「えっ、と……」 どういいわけをしようか考えていて、反応速度が遅れたのは、最悪だった。瞬きをしたほんの一瞬の隙に人にはありえな速さですぐ傍まで近づいていた。 驚愕の表情を浮かべているうちに、いきなり俺の前で屈んで、あろうことかズボンに手を伸ばしてそのままビリビリと引き裂いてきた。 「……っ、こら!そんなことするなって、ダメだって言ってる、だ……ろ?」 しかしこっちの言い分などまるで聞く耳を持たず、下着まで剥ぎ取られたところでよろけて、後ろの壁に全身を預けた。見られたくないものを見られたからショックを受けたのだ。 バターが塗りたくられたままの自身のペニスは、半分勃起していて、後ろの穴からは残液を少し垂れ流しながらバイブが振動していた。 「バターの臭いに混じって…他の犬の臭いがするぞ?」 「…ッ!」 低く呻るような声が部屋中に響き渡って、肩がびくりと跳ねた。いつのまにか足ががくがくと震え始めて、全身からぶわっと汗が噴き出てきた。 それなのに、体は見られていることに興奮しているのか、上を向いて反り返っていた。 「他の奴とはするなって言ったのに…お仕置き、だよなあ?」 さっき四木さんにも散々されたというのに同じ言葉を吐かれたばかりだった。けれどあの時とは違い、頬が赤くなってうっとりと陶酔するかのような瞳でシズちゃんの方を見つめた。 text top |