素早く指を引き抜いて、今度はそこに地震の滾ったモノを宛がった。浴槽は充分に広さがあったので、滑るのさえ気をつければ窮屈なくできそうだった。

「ね、ぇ…本気?待ってよ、実はさ……」
「うるせえ、黙ってないと舌噛むぞ!」
「やめ、って……ん、あ、うぅ、は、は、ああぁぁッ!」

苦しげに胸を上下させながらなにかを言いかけたが、遮るように腰を掴んで引き寄せながら中に先端を押しこんだ。しかし予想以上にキツくて、一度引き抜いて入り口を左右に手で割り開いた。
それからローションの湯を塗りこむように中に入れてから、再び後孔を硬く勃起したペニスで貫いた。

「だ、から話聞いて…っ、あ、あぁ、は、入って、くうぅんっ…!」

次はなかなか滑りがよくなっていて、一気に半分ぐらいまで埋まっていった。そこで改めて臨也の顔を見ると、唇を震わせながら辛そうに目を閉じていた。
確かにさっき俺の下半身を見て大きいだとか言ってきたが、そんなにでかくて苦しいのかと戸惑ってしまった。中はこんなに熱くてひくついているというのに、なんだか悪い気がした。
無理矢理入れたくせに今更だとか罵られそうだったので声は掛けなかったが、コイツが気持ちよくなるように努力はしようと思った。

「ふ、ぁ?なに?む、ね…ちょ、っと…!」

さっき敏感に震えていた乳首の先っぽを、右手で弄ぶようにいじくってやった。なるべく軽く、ぬめる液体で撫でさするように可愛がった。
すると驚愕に目を見開いていたのが、だんだんとぼんやりと快楽に蕩けたような瞳をしだして頬を染めて照れるような仕草をした。

「やだ、これ…っ、ちょっとい、い…かもっ…ぁ、あ…」

そう告げてきた表情はふわりと微笑んでいて、こんな顔もできるのかと口をぽかんと開けるぐらいに見とれてしまった。いつもの殺伐とした雰囲気など微塵も感じられないぐらい、優しげだった。

(なんだ、おい…これヤバくねえか?素でこんなの見せられたら、惚れそうになんだろうが!!)

叫びだしそうになるのをぐっと堪えて、ふとそこでこの行為は臨也にとって仕事なのだと自覚した。一時の時間をお金で買ってやっと得られる笑顔なのかと思うと、胸がズキリと痛んだ。
それは同時に他の客にも同じようにこんな表情を見せていて、俺だけのものじゃないのかとイラつきさえしてきた。
独占したい、と思ったのだ。

「ね?今なら、奥まで入りそ…っ、入れてよお…」

タイミングよく強請られて、複雑な心境で見つめながらゆっくりと腰を落としながら臨也の体をもっと引き寄せていった。
じわじわと、だが確実に塊が沈んでいって遂にすべてを飲み込んだ時にはお互いがため息を漏らしていた。いつのまにかびっしょりと汗をかいていて、額からぼたぼたと滴っては湯に消えていった。

「はっ、は、はぁ…あははっ、ほんとに入っちゃったあ。信じらんない、ちから、抜けそ…」

気だるそうに俺の方を上目遣いで見あげながら、背中に手を回してきてそのまましがみついた。転んでしまわないように、強くぎゅっと握ってくるのが子供みたいでなんだか嬉しかった。
もう小難しいことは忘れて、とにかく今目の前のコイツと楽しむのが先決だと思った。
その後で、どうするか――何を告げるべきなのか考えようと決意した。

「動いていいか?」
「ゆ、っくりなら…いいよ」

控えめな声でボソリと返事が返ってきたので、またそれが愛おしく思えた。いつもこれぐらいしおらしくて、煩い口を塞いでいればいいのにと笑いの形に唇を歪めながら微笑んだ。
了解を取ったところで、まず深く刺さっているモノをぐりぐりと奥に押しつけるようにして具合を確かめた。

「は、あぁ…っ、う…ふ、かっ…」

そのまま左右にグラインドさせると、甘い音色で声を出して酔っているように見えた。力加減を考えながら、抉るように擦ったところで突然腰から下をくねらせて悶えた。

「んぁ、あっ…そこ、っ…いいかも…っ、あぁ…!」

言葉でちゃんと言ってきたので、その部分が本当に感じるポイントなんだと理解した。見よう見まねの知識だったが、そこ目がけて体を前後に蠢かすことにした。
結合部ギリギリまで引き抜いたところで、間髪入れずに中まで引き戻すということを繰り返した。

「うぁ、は、あぁ…あ、んうぅ…はぁ、はぁっ…」

途中からもう肩を震わして息を整えるだけだったが、中がひくひくと収縮を繰り返していたのできっとこれでいいのだと信じた。
締めつけはかなりの力で、こっちが意識をはっきり保っていなければすぐにもっていかれそうなぐらいだった。しかし想像以上の刺激に、胸が弾んでいた。
男とするなんて最初はどうかと思ったが、こんなにすげえなら女以上にいいかもしれないとさえ考え方が変わっていた。勿論臨也以外は考えられないが。

「すげえいい…臨也の癖になあ」
「あ、はっ…おれ、だからいいんじゃないの?惚れちゃいそうじゃない?」
「うるせえ!」

まるで心の中を見透かしたかのような物言いに、照れ隠しについ力を入れて突いてしまったが痛がるような素振りはなかった。

「は、はぁっ…っ、遠慮しないで、動いてもいい…よ?」

しかももっと煽るようなことを言ってきて、もうこれが罠だとしても、一時の戯れだとしても、溺れてやるよと覚悟を決めた。ぐっと唇を引き締めると、背中に回された腕が今度は首に伸ばされた。
ぬるりとした手が這う感覚にぞくりとし、下半身がムクムクともっと大きくなって欲望が迸ってしまいそうだったがまだまだだと押さえた。

「出しても、よかったのに?」
「じゃあこれから出してやるよ、なあ?」

睨むように見下ろせば、向こうも情熱的な視線で見つめ返してきて、俺は喉の奥でククッと笑った。

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