▼ 十回目
「シャワー…シャワー…吐く」
気持ちが悪い。寒気が治まらない。汚い汚い汚い。
ぶるぶる震えるのを抑えながら、新しく借りた部屋へと足早に向かっていた時だ。
「っ――!!?」
ゾクッ―と凄まじい殺気と共に背後の空気が変わる。
すかさず方向展開し、後ろへと下がり態勢を整えた。
「…うっわ……復讐者って」
さっき第8属性がどうのこうの…。クソ野郎かよ。しかもコイツ時計をしていない。つまりは―
「闇討ち?」
「…………」
俺の問いには答えず、ビュンッと鎖が伸びてくる。仕込んでいた短剣でなんとか弾いたけれど、反動で体が吹っ飛んだ。
「って……ッチ…お前…汚いんだよ……!」
カチッとアニマル匣からロントラを呼び、新生ヴァリアーリングを使おうとして俺は焦る。
「新機能って……、なんだっけ」
確か―か、かん…
「っぐ―――!!」
流石は復讐者。俺の隙をついて鎖を放ってきた。直撃は回避できたものの左肩からは血が噴き出す。コイツ本気だ。油断してはいけない。
俺の所に来ているということはボス達の所にも来ているに違いない。大丈夫だとは思うけれど一刻も早く応戦した方がいいだろう。
落ち着け。新機能は、
ついた膝を持ち上げて、忘れかけていた言葉を唱えた。
「形態変化――!!!!」
パアアッと数秒ロントラと短剣が輝き、短剣の形が変化する。ひとつになったのだ。それは以前よりも鋭く刃を剥き、バチバチと僅かな電流が流れている。
さあて復讐者、
終わりにしてやる。
くるりとそれを掌で回して、思い切り地を蹴った―
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