バスケットゴールが置かれているマンション近くの公園。ガコン、と手から離れたボールがやっとネットを揺らした。たまたま彼を見つけたとはいえどれくらい見守っていただろうか。辺りは薄暗い


「!…――なまえくん、」


「ただいま。練習?」


「そんなところです。今日は早いんですね」


「テツヤが寂しがってると思ったから、急いだ」


ぐいっと抱き寄せて、男にしては小さな顎を持ち上げる。露わになった首筋にはうっすらと汗が滲んでいた。


「たらしって言葉、知ってますか」


「俺が?まさか。テツヤだけだよ」


「やめてください」


「今のは素直に嬉しいって言うところ」


「…、…嬉しいです」


「そう」


ほほ笑んで、ゆっくりと唇を重ね合う。そしてそのまま頬や瞼にもちゅ、ちゅ、と口づけていく。


「ん、くすぐったいです…っ」


「ふ、かわいい」


最後に額にも口づけて、くしゃりと水色を撫でた。


「ならなまえくんはかっこいい、ですね」


「こら、かわいいこと言わない。襲うぞ」


「それは…、駄目です」


ほんのり頬を染めて、家でお願いしますと小さく呟いた彼。本当にかわいい


「次はテツヤからちゅーして」


「ボクから、ですか」


「大丈夫、誰も居ないよ」


「……」


「ほら、」


届きやすいよう少し屈んで、腰を支えてやる。赤らんでいる頬がはっきりと映った


「…目、閉じてください」


「ん」


「…―――、」


そっと背伸びをした気配のあと、控えめにちゅ、とやわらかな唇が俺に触れる。

そして、もう一度重なった


「ん―…なまえくん、」


「うん」


「好き、です」


「知ってる、俺もテツヤのこと好き」


「はい、知ってます」


「だろ」


こつんとおでこをくっつけあって、ふたり一緒に微笑いあった―――





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