エテルニタの果て | ナノ
10:困惑をした
「あ、ルドガー」
「遅かったじゃねーか」
「どうだった?えっと、なまえさん、だっけ」
「……ああ」
大丈夫そうだ、
なんて嘘だけれど、笑ってごまかした。説明できる力がない。
とりあえず気持ちを切り換えなければ。
キッチンへ行って、僅かに残ったトマトジュースを濯ぎ始める。やっぱりさっきのごまかし方は大袈裟すぎたかもしれない、失敗したなあと流れていく水を眺めた。
恐らくふたりには何かがあったとは勘付かれているだろう。でも、何も言わずに言葉を続けてくれた。
「そっか、よかった。…あ、僕もう帰らないと。アルヴィンは?」
「あー俺もそろそろ。ユルゲンスに飲みに誘われてたの忘れてたぜ」
「じゃあ行こう。ルドガー、なまえさんによろしくね、お大事に」
「お大事に」
俺が見届けるのを待ったあと、ぱたん、と扉が閉まった。同時にルルが脚に擦り寄ってくる。そんなにやばい顔してるのか、俺。
流石に顔色が気になる。
キュ、と急いで蛇口を閉めてはグラスを拭き、小走りで部屋へと戻った。そしてさっきは見なかった鏡を覗けば、
「うわ…」
これはまずい。血色が悪すぎる。血を吸われたのだからあたりまえと言えばあたりまえだが、見せれる顔じゃない。あのお人好しなジュードまでも出ていくわけだ。
「ん?」
ふと、何かがきらりと鏡越しに反射した。
なまえが飛び出して行った窓だ。
「……?」
ネックレス…?
枠に引っ掛かっているから彼のだろう。少なくとも俺のではない。けれど、ジャラリと持ち上げた先についていた飾り。
ドクンッと心臓が跳ねあがった
「なまえって…、」
吸血鬼、だよな…?
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