▽2日



昨日はシェイクを、今日は新刊を。そして帰る家は俺達の家だ。


「っ…―くしゅん、!」


「ん、大丈夫?」


「…はい」


スス、と控えめに鼻を啜って、深く息を吐いたテツヤ。大分寒そうだ。早く中に入ってあったかい飲み物でも入れてあげよう。確かココアがあったはずだ。


「ただいま――にしてもいっぱい買ったな。いや、買わされた」


「ねだれる物はねだっておこうと」


「あれわざと?犯すぞ」


「名前くんは騙されやすいですね。ボクに」


「テツヤ、」


「あ、早速読んできます」


では、と危機察知能力が働いたのか、家に入るなり素早く本と一緒に部屋へと退散してしまった。このやろう夜にでも覚えてろよ。


「手洗いうがい、忘れずに」


リビングに入る前、閉まった扉にコンコンと声をかけて俺はキッチンで済まそうと腕をまくった。冬は水道水さえも氷みたいだ。ガスつければいいんだけど。


「ガス代がね…」


もともとここは親父が高校の入学祝いにと俺に買ってくれた家で、家賃の方は心配がなかったりする。生活費も何故か払ってくれていてテツヤからのお金も受け取らない。けれどいくら金があるからと親父に甘えていてはいつか痛い目に遭うだろうし、節約するのが礼儀というか、せめてもの手助けというか、、俺ばっかり可愛がってないで母さんを可愛がれって言いたいのが本音だ。可愛がってるだろうけど。


「久々にバイトでもするか…」


ただそうなると晩飯がなあ。シフトが利く場所で上手く調整するしかない




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