▽14日



ふう、と大きなため息がテツヤから聞こえる。本人は意識してないようだが夕飯を食べている手も動いていない。テレビに視線をやってはいるけれど、内容は入っていないだろう


「………テツヤ?」


「………………………名前くんはボクのです」


「……それなんの嫉妬」


珍しい、彼がそこまで言うなんて。普段なら絶対に言いやしない。それに何か不安にさせるようなことをした覚えもない。だとすれば今日、何か大学であったのだ



「もっと脅しておくべきでした」


「テツヤこわい」


「名前くんの話で持ち切りですよ」


「大学でってこと…?顔と名前どっちも知ってるのキセリョとあおみねくんだけなのに?」


「だから、それが問題なんです。緑間くんや赤司くんのほうがまだマシです」


「でも、別に話題が俺だからってそこまで――」


「彼らのこと甘く見すぎです。頭の中で名前くんが何をされてるか知らないからそう言えるんですよ」


「………大学で俺ナニされてんの」


鳥肌が立った。
テツヤもテツヤでそんな話の中でよく輪に入っていけたなあと思う。内心は暴れていたかもしれないけれど。
しかし、ひとつの疑問が俺の中で生まれる


「……テツヤ狙われてない?大丈夫?」


なんてったってキセリョにはインターホンの件があるし、あおみねくんだって玄関の件があるのだ。俺の話題をされるのが気に食わないと言う前に彼は自分自身の心配をするべきでは


「……嫌です。ボクは名前くんがいいです」


「……うん。そうじゃなくてさ…」


「嫌です。そんなことさせません」


「防げるものでも――」


「嫌です」


「はい、わかった」


どうやら質問自体を受け付けない内容だったようだ。大丈夫ですさえも出てこないほど地雷を踏んだのがわかった。さっきの質問は一生封印しておこう




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