秋祭り、俺は夏祭りよりもそっち派だ。わいわいと賑わっていても暑苦しいと感じることはない。ただの暑がりなだけなんだけれど、そこは暗黙していただきたい。


「おなまえ、、!」


「あ、逸れるから手は離さないよー?。ちょっと休もっか?」


空いているベンチを探して、そこに座った。すぐに楽しそうな人々の様子が目に映って、彼の手を握ったまま、ぼーっとその様子を眺める。自分もなかなか人酔いしていたらしい


「!……マティスくん?」


不意にとん、と肩に重みを感じて振り返った


「………おなまえ、名前」


「なまえ?」


「うん。この前、呼んでくれたのになって…」


しゅん、と彼が犬だったら耳と尻尾が垂れているだろう。というよりも、これはもしかして、マティスくん俺に惚れてくれたのかなあ。なーんて。雰囲気に流されてるだけだろう。かわいいなあ。


「この前はマティスくん不足でちゅーしちゃっただけ。いつもは足りてたから思わず…嫌だったよねえ」


「う、ううん、そりゃ…びっくり、したけど…その、嫌とか、思ってない、よ」


「うん、だからごめ…………………ん?」


きゅ、と握っていた手を少し持ち上げて、笑顔でマティスくんを覗き込んだ。珍しく目線を逸らして、恥ずかしげにしている。


あれれ?あれ?


秋祭りってどこまで雰囲気作りあげてくれるの?そろそろ冗談と本気の境目がわからなくなってきました。



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