「あ〜、手掛かりねぇな〜」

ばふっと、今夜泊まることになった宿。思ったよりも寝心地の良いベッドにダイブして、今日を振り返る。

捜索班から報告があがっていた場所は一通り回ったけれど、特に何もなかった。それはそれでおかしいとも思うが、何もなかったのだから仕方がない。


「…………あとひとつ、残ってるけどね」


明日どうすっかな〜なんて天井とにらめっこしていたとき、不意に(大量の)パンを頬張っていたなまえがぽつりと声を発したので、そちらに目を向ける。

「?、でも一通りは回ったさ?」

「捜索班の報告の場所は、でしょ?」

「と、いうと……?」

「ここ、俺が育ったところ」

「!!!!それって……!」


バッと体を起こして座り直す。なんとなく、違和感の理由がわかった気がした。


「思いあたる場所は、なくはない」

「……もしかして、なまえの家の近く、、みたいな?」

「むしろ、俺の家だよ」

「エッ……」


直感的にヤバい流れだ、と確信する。変な汗が背中を伝った。これって俺とかよりユウとかリナリーとかとのほうがよかったのでは。


……もっとも、なまえという人物をレコードするには申し分ない、わけだが……


「あああああああ〜!!」

「えっなに!?」


俺のいきなりの奇声にびくっと肩を跳ねさせたなまえを尻目に、自分の職業病ともいえる次期ブックマンとしての思考が働いたことに嫌気が差した。嫌気もなにも深入りは禁物だけれど。。

「なまえは関係ないさ……これは俺の問題さね……!」

「……そ、そう?」




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