賜物(ジュディス)


※ユーリ←主←ジュディ


いかがかしら、確かにそういった。間違いない。しかし、彼女の手にあるものは所謂興奮を促す薬なのだ。どう解釈すればいいのだろう。俺が彼女に使えというのならまんざらでもない。だが、それを彼女がわざわざ要求してくるだろうか。というよりもむしろ、

「あら、気が進まないかしら?貴方には最適だと思うわよ」


「根拠は」


「ふふ、なんとなく、ね」


なんとなく。そんな理由で俺は気持ちヨくならなきゃならないのか、何が望みなんだ、何を考えてるんだ。顔には出さないものの、背中に汗がひとつスルリと流れた。


「貴方のその顔、好きよ」


「それはどうも」


嬉しいのか嬉しくないのか、なんとも複雑な気持ちだ。俺がもしそこらの町のやつなら喜ばしい言葉だったろう。


「どう?使う気になった?」


「抱かせてくれるんなら」


「あら、あまりそういうこと言わない方がいいわよ。痛い目に遇いたいのなら別ね」


「そうですよねえ、いい女はやっぱり何考えてるのかわからない」


「ナマエ、誰も貴方自身が使えなんていっていないわ。誰だったかしら、あの人、逞しい犬を引き連れて、下町育ちの、」


彼女がそこまで言ったところで、俺はそいつが誰なのか完全に理解した。そんなやつ一人しかいないだろう。それにしたって俺が奴に恋愛感情を抱いていると見破った彼女は一体何者なのか。


「……趣味悪いな」


「うふふ、ナマエには負けるわよ?」


「そうですか…」

 

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