くちふうじ(白蘭)


「ナマエチャン」


「………」


「やだなぁ、そんなあからさまな顔しないでよ」


あは、と我らがボス、白蘭様は今日も変わらず抱けと命令してきた。初めてそう言われたときは、男同士だということよりも、抱かれろではないのかと聞き返してしまったほど、気が動転したのを覚えている


「……毎日毎日、元気ですね。気色悪い」


「だってナマエチャン見てると、コーフンするんだもん」


「………あんた、自分がボスだって自覚してます?」


「もっちろん」


にこにこと人当たりのいい微笑を浮かべて、まっしろな両手を広げた。この空間に拒否権など一欠けらも存在していないことは百も承知。俺は仕方なくジャケットを脱ぎ捨て、彼に跨ぎ乗る。


「いい匂いだよね、ナマエチャンって」


ぎゅっと俺を抱きしめたまま、肩口に擦り寄ってきた白蘭様は、するりと片手を怪しい手つきで移動させて、俺のものをひと撫でした


「ちょっとは反応してくれなきゃ」


「俺はボス相手にコーフンしませんから」


「ふふ、おっきくしてあげよっか?」


「………」


「イエスかハイねっ」


「じゃあ、」


「!――…、」


ちゅううっとやわらかい唇に吸い付いた。あまい


「ん…っ…ン、…―」


「っは……何個、食ったんですか」


「はあ…っ、んー、ねえナマエチャン、もういっかい」


「聞いてます?」


「ナマエチャン、」


「………噛まないでくださいよ、変態」

 

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