微睡ランデヴー



折角休日が重なったからどこかへ行きたい、昨日までは確かにそう言っていたはずだ。しかしどうだろう、当事者は何事も無かったかのように寝息を立てて俺の膝を独占している。
仕方がないので鬼道君から何故か強引に押し付けられた国際コミュニケーション論の本を読みつつ様子を窺う。が、人形のようにぴくりともしない。

「おい起きろ」

何度揺すっても叩いても起き上がる気配は無く足はどんどん痺れていく。
気まぐれでマイペース。それがこいつの本性であり形成しているほとんどがこの性格に準ずることになる。ああ日曜の昼下がりが、勿体ない。
デコピンでもしてかまそうかと考えていたところで、まだとろんとした目の冬花と目が合う。

「やっとお目覚めかよ」
「だって明王くんの膝が暖かかったから」

それで寝てしまったと。俺の脚の心配もしてくれたらどうなんだよと文句を言ってやろうと思ったのだが瞬く間にまた夢の中へ落ちていくこいつをみているとどうにもそんな気分にはなれない。抗議のために上げた拳を解き、頭にのせ撫でてやると猫のようにうずくまりぎゅうと背中に腕を回されてしまった。
逃げ場のなくなった俺は仕方なく、足の痛みと戦いながら有意義に休日を過ごすのだ。




微睡ランデヴー


お姫様の特等席は俺のもの

fin.




2013.01/12


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