合わせ鏡


ほのぼの友情れいかとなお





疲れなんて感じたことはなかった。兄弟たちの面倒を見るのだってみゆき達と一緒に居るのだって楽しくて時間を忘れてしまうくらい。性格からかもしれないけど頼るくらいなら頼られた方が嬉しいんだよ。

「あらそうなの?でも疲れた顔してるわね」

れいかが隣に座って私の顔を覗き込む。ふわりと笑って私の頭をなでる姿は昔から変わらず私の心を癒してくれる。れいかの髪の毛を撫でられるのはとても好きだ。そのまま目を閉じて方に寄り掛かるとラベンダーのいい匂いが鼻をくすぐる。シャンプー変えたんだと言うとくすりと笑う声が聞こえた。

「たまに甘えてくるあなたは妹みたいね」
「まあ、定期的に。れいかだけ特別」

それは嬉しいな、と私の大好きな笑顔が降り注ぐ。心が洗い流されるな、と。やよいのように素直に甘えられるタイプならまだ良かったかもしれない。でも私はそういうキャラじゃないからつい溜めこんでしまうんだ。

「兄弟のこと部活のことみゆき達のこと、忙しくなるなあってさ」

プラスれいかは生徒会の仕事だってある。私と同じくらい、いやそれ以上大変に違いない。責任感が人一倍強い彼女に私が伸し掛かるのは辛くないだろうか。

「ありがとうね。いつも頼ってばっかで」

依然肩に寄り掛かったまま答えると、疑問符が口から零れ不思議そうな顔をされる。

「頼るより頼られた方が嬉しい。いつもなおが言ってるじゃない」

おかしいの、と口に手を当て上品に微笑む彼女の頭を撫でて私も笑う。

「もしれいかに何かあったら私が守ってあげる」

このあとじゃあ私も、と彼女は同じセリフを私に投げかけるのだろう。
月日が経ってもこれからもきっと私はれいかを頼り彼女もまた私を頼る。お互い相手に依存するのはどれほど幸せなことなのか、限りあるありふれた時間は今日も止めどなく流れていく。





合わせ鏡



向かい合わせの誰かさん



fin.




2012.3/12


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