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宇宙人、天使、悪魔、その他諸々。もう何が来ても驚かないだろうと思っていたのだが10年振りにまたしてもSFのような展開が目の前で繰り広げられている。

はじめまして御嬢さん、そう言われたような気がする。前方で目をキリッと輝かせたくまのぬいぐるみに。嘘だと信じたくて唯一頼りの彼へと視線を向けるが円堂さんの理解力には驚きを隠せない。もう事態を把握してさっそく客人を迎え入れている。私ときたら未だにその場に立ち尽くしてフェイと名乗る少年とさっきのくまを見比べ必死に理解に励む。変な服、やたら私達の事を知ってる、その問題たちは10年で嫌というほど傾向と対策が出来たものの喋るくまは初体験だ。どことなく近しい誰かの声に似ているとか私の年齢で御嬢さんは無いんじゃないとか色々疑問に思うことはあったけれど今はそれどころじゃない。

「貴方たちは、何なの」

一生懸命頭を働かせて出てきた言葉がこれだ。脈絡も何もありはしない。くま君が私の言葉を聞き腑に落ちない表情を浮かべ首を傾げる。

「何、とは難しい質問だ。抽象的過ぎて何て言ったら良いのかわからないが」
「君を守るために未来からやってきたエージェントとでも言っておこうか」

あと私のことはワンダバと呼んでくれたまえ、そう言って大きなお腹を揺らし颯爽と輪の中へ消えていく青い背中を見送ってから、私の質問は何一つまともな回答が得られなかったことに気付く。未来人ということは信じて良いのだろうか。天馬君達の顔を見る限り大丈夫そう、外見は十二分に怪しいのだけれど。

相手が人間だったら決意は早く出来ただろうに反応にいちいち決めポーズをかます未来人もとい未来くまが来てしまった日にゃそれは不安にもなりますって。ともあれ何もしないよりは、立ち止まって疑うよりは信じて前に進んだ方が成程お得かもしれない。

「頼りにしてるね、ワンダバ君」

一通り説明を終えた彼にこっそり耳打ちしてからフェイ君のユニホームを取りに部室を出て直後、全身が鮮やかなピンク色をしてその場に硬直している彼に出くわすまであと数分。





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初めてマスコット扱いされたから今夜は赤飯を炊いてくれ


fin.






2012.05/27



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