その触手、凶暴につき(※)



(!ストーリー6章 ifです)
(!6章のネタバレあります)



「イ、イデア先輩おねがい…やめてください」
「えっ今更何言ってんの。やめる訳なくない?…オルト、はじめて」
「了解。ダイブ・スタート!」

わたしの懇願は 無感情な声によって粉々に砕け散った。



突如学園にやってきたカローンによって連れ去られた先輩たちを助けるため、何より彼らに傷つけられた友人に居ても立っても居られなくて。ルーク先輩とエペルくんと共にこのS.T.Y.X.*{部に乗り込んだはいいものの わたしたちは呆気なく本部の人たちに捕まってしまったのだった。
魔法も使えない鈍臭いわたしはすぐに眠らされ 気がついたら何もないだだっ広い空間に一人座らされていた。

「おはよう、監督生氏。調子はどう?」
「イデア先輩…ッ!」

天井のスピーカーから聞こえたのは大好きな人の声。
──やはり、イデア先輩はグリムたちを連れ去った集団の一味だったんだ。
実際に声を聞くまで心の何処かで否定していた。だって、イデア先輩の口からそんな話をされたことなんてなかったし 何より先輩を信じていた──信じていたいと 思っていたから。
呆然と天井を眺めていたわたしを嘲笑うかのようにわたしのいる部屋のドアがプシューと音を立てて開いた。弾けるように其方に視線を向けたけれど、入ってきたのはイデア先輩ではなく 弟のオルトくんだった。

「監督生さん、ちょっとごめんね」
「え、お、オルトくん!?」
「大丈夫だから、オルトの邪魔しないで」
「兄さんの推奨行動により、監督生さんが負傷する確率が86%低下するよ」

有無を言わさずオルトくんにゴーグルとヘッドセット、首にはチョーカー 手足には枷を着けられた。
視覚も聴覚も奪われ 手足の自由も失ったわたしの「なんですか…わたし、何されるんですか…」という震え声はヘッドホンから聞こえた「ヒヒッ」という笑い声に掻き消された。

「学園を飛び出しちゃう悪い子にお仕置き」
「監督生さん、がんばってね!」
「がんばる って…なに を、」
「一度やってみたかったんだよね。監督生氏のデータ収集…未だ見せたことのない君の顔、僕に見せてよ」

耳元で囁かれた其れにぞわぞわと背筋が粟立つ。
──今から何をされるのか 薄らと分かり始めたこの状況にじわりと涙が滲んだ。

「イ、イデア先輩おねがい…やめてください」
「えっ今更何言ってんの。やめる訳なくない?…オルト、はじめて」
「了解。ダイブ・スタート!」

そこでわたしの意識は再びぷつりと切れた。



△▽



「…あれ、わたし………ひッッ!!」

ぼんやりとした微睡みから覚醒する。気がつくとわたしは巨大な青黒い植物のようなものに全身を拘束されていた。
抜け出そうと力いっぱい引っ張ってみてもびくともしない。どうして 何で と震える声で繰り返す。

「…あ、気づいた?」
「イ、デアせんぱ…たすけて…!」

何処からか聞こえたイデア先輩の声にわたしは必死に助けを求めた。今まで感じたことのない恐怖に涙がぽろぽろと頬をつたう。
──しかし、そんなわたしを嘲笑うかのような「お仕置きなんだから助ける訳ないでしょ」という声にわたしは大きく目を見開いた。

「えー…今から君には 此奴らと戦ってもらいます」

イデア先輩の声を合図に 四方からぬめぬめと蠢く青黒い触手のようなものが幾つもわたしに向かって伸びてきた。
ぺたり、植物がわたしの頬に触れた。
ひんやりと湿ったその感触にわたしは「ひっ」と声をあげた。ぺたり ぺたり 幾つもの触手がわたしの身体に触れる。──そのうちの一つが わたしの内太腿に触れた。

「あっ…、」
「ヒヒッ、何いまの声…ねぇ、もしかして何か期待してる?」
「ちが、そう じゃなく、て…あ、──やッ!」

ぺたりと触れていた触手が再び蠢く。まるでわたしの身体を弄ぶかのように全身をまさぐるその動きに わたしはびくびくと身体を震わせた。
必死に無心を装おうとするけれど、そんなわたしに一切お構いなしだといった様子の触手は ひたすらわたしの身体中を蠢いた。

「ぁ、待って、そこは、───あ、ぁあ!」

太腿を蠢いていた触手がぬるりとスカートの中に潜り込んできた。咄嗟に其方を見やる。──先程まで幾ら暴れてもびくともしなかった 全身を拘束していた植物がグネグネと蠢いた。まるでその触手を受け入れるかのようにゆっくりと開かれる両脚に わたしは再びじたばたと抵抗する。

「おねがい……待って、」

必死の抵抗も虚しく 所謂M字開脚のように開かされた両脚。待ってましたと言わんばかりに太腿の付け根付近を蠢いていた触手は 薄いショーツ越しにわたしの秘部をするりと撫でた。

ぬるり。

その湿った感覚は 触手のものか わたし自身のものなのか。身体を固くするわたしを嘲笑うかのように新たな触手が二本 わたしのショーツの両端を引っ張った。
──びりりという音とともに最後の砦は呆気なく破れてしまうのだった。

「あーあ。破れちゃったね。…でも大丈夫 新しいのを買ってあげるから」
「イデア先輩 お願い これ以上はもうやめて」
「イヤイヤ何言ってんの。ここからが本番では?」

わたしの懇願も虚しく つぷりとナカに入り込んできた其れ。──上半身を蠢いていた触手たちも 一斉に服の中に忍び込んできた。

「あ、やぁッッ!」
「嫌とか言いつつしっかり濡れてんの 変態すぎじゃない?」
「ちが、そんなん じゃ、ないぃ」

イデア先輩の言葉に必死で反論するけれど、ぬるぬるナカを蠢く触手にぐちゅりと音を立てているのは紛れもない事実だった。
的確にわたしのイイところを擦るその動きに 鼻にかかったような甘ったるい嬌声が口から零れ落ちる。
新たな触手が秘豆をくりくりと擦る。
お腹と胸元から入り込んだ触手が下着の中の胸の飾りを弄る。
──近づいてくる大きな波の気配に わたしはふるふると首を振る。快楽から逃げようと必死に身体を捩るけれど 身体を拘束する植物は逃がさないと言うかのようにびくともしなかった。

「あ゛ッ、───ああぁぁぁッッ!」

ぷしゃっ、という音とともにわたしは身体を弓なりに反らせて達した。視界がちかちかと瞬く。恐怖と快感で溢れた涙が瞳から零れ落ちた。
はーっ はーっという呼吸音に応えるかのようにうねうねと蠢く触手は再びわたしの身体をまさぐった。

「も、やめて…ッ!おねがい…ぁ、ああ゛ッ!」
「あれ、僕さっき言ったよね。今から君には 此奴らと戦ってもらいます≠チて。これは戦いだよ」
「ッあ、──んん、やッ!」
「戦いはどっちかが負けを認めるまで終われない……それとも何?もう降参?」
「降参します、しますからぁ!…だからもうやめて…ぁ、あ、だめ、またイく──あ、イっちゃ……ああぁあッッ!!」

再びやってきた大きな波にわたしはがくがくと身体を震わせた。負けを認めたというのに 触手は動きを止める気配はない。
一度嵌ってしまった沼から中々抜け出せないように、一度嵌ってしまった快楽からは逃れることが出来ない。続けて何度も達する内に敏感になった身体は 些細な刺激でも達するようになってしまっていた。

「も、降参してる のに、ど して……ッ!」
「ちゃんと負けました≠チて言わないと」
「まけた、負けましたぁ!…言った、ちゃんと言ったから、おねがい…」

「ふひ、敗者には罰ゲームがルールだよね」

わたしの懇願は再び無視された。イデア先輩が言った罰ゲーム≠ニいう言葉に再び身体を固くする。──その意味を直ぐに理解したわたしはふるふると首を振った。

「おねがい、待って、それだけはやめて…」
「エロ同人の罰ゲームは大体本番≠チて相場は決まってるんですわ」

今迄の触手とは明らかに大きさも太さも違う触手がにゅるりと近づいてくる。
血管のように浮き出る模様が酷く淫靡で 凶悪に見えた。生き物のように脈打つその触手にぼろぼろと涙を零す。反比例のように 今から起こるであろう出来事に期待するかのようなはーっ はーっという呼吸音がやけに耳障りに感じた。
周りの触手が その触手に道を譲るようにわたしの身体を離れた。少しだけ安心したのも束の間──わたしの身体はその触手に一気に貫かれた。

「あ゛っ、────あぁぁあああ!!」

挿れられただけで敢えなく達したわたしを嘲笑うかのように わたしを貫いた触手はずぷぷとゆっくり抜かれた。──と思いきや ばちゅん と音を立てながら再びわたしのナカを貫いた。
ばちゅばちゅと何度も何度も最奥を貫かれる度に意識が飛びそうな快感が身体中を駆け巡る。再び幾つもの触手がわたしの身体を弄り出し 全身をがくがく震わせた。

「めちゃくちゃイってんじゃんえっろ…監督生氏、気持ちいいの?」
「きもちい…のぉッ!ぜんぶ、ぜんぶヤバ…あぁだめまたイく…ッッ!」
「ふひ、もう焦点合ってないじゃん」

「ああ゛ッ、も だめ、──っん、ああ゛ッッッ!!!」

強く貫かれた最奥と 強く擦られた秘豆に、わたしは大きく身体を震わせて意識を投げ出した。



△▽



「…あれ、わたし…」
「…あ、起きた?よく寝てたね」

ぼんやりとした意識から覚醒する。気がつくとわたしはイデア先輩の自室のベッドで横になっていた。

「すみません、わたし いつの間にか寝てました」
「しょうがないよ。昨日はVDCだったんだから 疲れが溜まってたんじゃない?」
「…あ、そうだっけ…」

イデア先輩の言葉にゆっくりと起き上がる。「い゛ッッ!」ずくりと痛む腰に わたしは顔を顰めた。

「どうしたの?」
「なんか、腰が痛くて…寝違えちゃったのかな…」
「かもね。君、結構 魘されてたから。…嫌な夢でも見たの?」
「どうだろ…何も覚えてないです」
「…そっか」

イデア先輩はわたしの言葉に少しだけ何か言いたそうな顔をした。先輩?と首を傾げると「何でもないよ」と顔を逸らされた。

「枕が合わなかったのかな…今度新しいやつ買っとくよ」
「え、大丈夫ですよ!でも、気を遣ってくれてありがとうございます。…あ、もうこんな時間」

壁にかかっている時計の針はそろそろ日付が変わることを示唆していた。わたし帰りますね。痛む腰に鞭を打って身体を起こす。

「じゃあまた」とイデア先輩の部屋を後にしたわたしは気づかなかった。
寮に戻ってシャワーを浴びようと服を脱いだ時、どろりとナカから液体が溢れ出たことにも その液体が染み込んだショーツが見たこともない柄だったことにも、全く気が付かなかったのだ。



△▽



「監督生さんの記憶 綺麗に消されてたね、兄さん」
「流石レテの河≠ナすなぁ」

彼女が去った自室にて、オルトの言葉にイデアはググッと伸びをした。
S.T.Y.X.と関わった者は例外なくレテの河を通る。通った者は、S.T.Y.X.に関する全ての記憶を失う。
──彼女の記憶も、案の定綺麗さっぱり無くなっていた。

イデアは少しだけ心の中を渦巻く虚しさを掻き消すように嗤った。

「…しかし、あの監督生氏があんなに乱れるなんて思わなかったな」
「良いデータが取れて良かったね!僕は見てないから分からないけど」
「あの姿は流石のオルトにも見せられないよ…まァでも…」

「監督生氏のイイところ≠フデータが全部取れて良かった」

次に会うのが楽しみですなぁ。また嗤った。

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