雨が降る。
あの日も雨だった。
今日もまた、雨だ。


「さあ、あの子らを返してもらおうか。」

眼帯を付けた男、霖雨が口を開く。
話の相手は白衣を纏った年寄り。その顔には恐怖と憎しみが入り混じっていた。

「返せ…だと!?あれは私が拾ってきたものだ!
私のもの!そしてそれをどうしようが私の勝手だろう!!?」
「あーあ、話通じないおじさんだなぁ。」
「遅かったな、村時雨。」
「霖雨の仕事が早すぎるのー」

会話に混ざってきたのは顔を長い前髪で隠した少年だった。
村時雨、と呼ばれたその少年はケラケラ笑いながら霖雨の横に並ぶ。

「おじさんさぁ、いい加減にしなよ?子ども誘拐しておいて“拾った”だなんてさ。
挙句実験に使うとか………胸糞悪い」
「っ!?」

村時雨がそう言った直後、老人はその場に倒れこんだ。
村時雨も霖雨もその状況をただ眺める。

「美味しい?僕特性の毒はさ。」
「さて、話してる間にここの子ども達は仲間が全員逃がし終えたようだ。
お前との話ももう終わりだな。行くぞ村時雨、霧雨たちが待ってる。」
「バイバイおじさん。その毒もうちょっとで全身に回ると思うよ。次の人生は楽しめるといいねぇ。」

二人が話し終えた頃にはもう、老人は息絶えていた。
二人は足早にその場を後にした。


先日、○○街にある孤児院で事件が発生しました。
孤児院内はもぬけの殻で、子どもはおろか職員の姿も見当たらず、
雨の中でずぶ濡れになった院長の死体だけが見つかったとのことです。



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