「所でご主人様ハどうして私たちをゾンビにしたノー?」

「従者を従えてウハウハしたいただの厨ニ病だぞきっと」

今日も今日とて館は平和だ。嗚呼平和だとも。
今日もみんなやること無くて館の中でグータラだ。
“病”という単語にいつもの如く過剰反応し暴れだした鹿沼を「どーどー」と馬のようになだめる。最近わかったことだが鹿沼は生前ナースをやっていたらしくそのせいでそういう単語に敏感だ。まあ簡単に収まるし誰も気にしてねぇ。

「まああれだあれ」

「どれだよ主」

「だからあれ、運命みたいなやつだろ多分」

多々良瀬がツッコミを入れれば出てきた答えは『運命』。なんともまあ主は厨ニ病だけじゃなくメルヘン思考の持ち主か。

「俺の能力がゾンビを操る能力ってのは前話したな?」

「聞いたねぇ。操られてる実感まるでないけど。」

「確かに。」

「俺も操れてる実感ねぇよコンチキショーめ。」

「まあマあ。」

確かに、主の能力で生き返り(?)はしたが、使役されてる感じじゃねぇなぁ。
そういう能力なのか、はたまた本気を出していないだけなのか?

「話が逸れたから戻す!いいか、まあ能力を手に入れてからそこら辺の墓場で試してみたんだけどよ」

「そこら辺の墓場って。」

「まあ聞け。それで試してみたら広い墓場だったんだけどよ、出てきたのは4体。そのうち1体はまた崩れちまった。」

「へー。じゃあ残った3体が俺らってことなのね。」

「そういうことだ!!」

どうやらゾンビとして出てきた直後は結構グロッキーな姿だったらしい。日が経ってから大分人型がハッキリしたとか。確かに俺ら、ここに来た直後の記憶とかねーわ。気づいたらここにいたし。
恐らく主の能力ではいきなり完全体で、とはいかないようだ。

「じゃアそれからは能力つかっテないの?」

「そういうことになる。」

「能力が操る能力なら、なんか命令とかしてみたら?例えばほらそこにいるタヌキにおすわりさせて見るとかぁ」

「誰がタヌキだボケ。なあなあ主ー、そこの犬に3回まわってワンって言わせてみようぜー」

首輪までつけててまんま犬だろ?

「はあなに殺されたいの?」

「お前がな」


「翔々と沼刃は仲良く手を繋げ!!嶺は3回まわってにゃー!!」

「「はぁ!!!???」」

次の瞬間、手が勝手に多々良瀬の手を取る。手をひこうにも動かない。接着剤で止められたみたいにかたい。

「離せよ犬!!」

「そっちが離せよタヌキ!」


ギャーギャー言う俺らを他所に鹿沼はくるくると回る。何で鹿沼だけ楽しそうなの?

「にゃあー!」

「よく出来ました!!!かわいい!!」


この後、主の「もう離していいよ」という言葉でやっと手は離れた。
これは厄介なことになったもんだ。これを主が悪用しないわけがない。

それから主はたまに能力を使って遊ぶようになった。迷惑である。
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